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カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』

2017年11月12日 22時17分19秒 | 文学
カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』(ハヤカワepi文庫)を読んだ。
楽しみにしていた新作で、文庫になるのを待っていたらちょうどノーベル賞を獲って本が山積みされていた。
でもちょっとこれは難しい、何が言いたいのかよくわからない、思わせぶり、といった感じだったかな。
アクセルとベアトリスという息子に会いに行く老夫婦、ちょっとドン・キホーテを思わせる騎士ガウェイン卿、竜に噛まれた傷があると噂される少年エドウィンと彼を救った戦士ウィスタンの、五人が集まったり離れたりしながら物語は進み、とてもいい雰囲気で、ロールプレイングゲーム風でおもしろくないこともない。
雌竜クエリグの吐く息で、ひとびとが記憶をなくしていっている世界で、記憶がなくなることで悪いこともあるけれど、良いこともあるという、大ざっぱに言えばそんな話だった。
このひとの小説のどれに似ているかと言えば、『わたしたちが孤児だったころ』に似ていたかもしれない。あれは探偵小説の世界観を背景にして何かを(何だったかわからないが)追求している話だった。これもアーサー王の時代の世界観(知らないけど)を背景に記憶とは何かというようなことを追求している作品なのだろう。
老夫婦の記憶が明確になったときに、もっと彼らの過去も重大なことが明かされるのかと思ったら、それほどびっくりするようなことではなかった。こういうのも印象の薄くなる原因だろう。

なかなかよくわからないし、評価のしにくい作品だった。
こういうのをきちんと批評して、解釈しているものがあれば読んでみたいものだと思う。
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