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中島岳志『親鸞と日本主義』

2017年10月29日 01時14分53秒 | 文学
中島岳志『親鸞と日本主義』(新潮選書)を読んだ。
倉田百三のはちゃめちゃな生活が凄いと思った。正妻を含む女性三人と同居して、それぞれとの間に出来た子どもも一緒に育てていたというのはいまではちょっと考えられないなと思った。自分の強い性欲に罪悪感を持ち、それを親鸞の思想で乗り越えようとしたのだろうということがわかった。
亀井勝一郎は戦時中に親鸞の思想を題材にしてその時代の考えを肯定したが、戦後に訂正する。

親鸞の思想そのものの中に、上から言われたことをそのまま受け入れるという思想があってそれによって戦時中に利用されたのかどうかこの本を読んでも実は良く分からなかったのだが、いまの日本でサラリーマン的傾向というか、「いいか悪いかを判断するのは自分ではない」と思っている人が結構多いのではないかということはよく感じる。
これはいろいろなところで、政治家の人たちにも感じるし、会社でも感じるし、もちろん自分の考えにも感じる。
学校教育を受けてサラリーマンを長くやっていると自分の考えなんか持たないで言われたことをやっていればそれでいいと考える傾向の人が増えていくのは仕方のないことなのかもしれない。
そういうようなことを感じた。

親鸞の思想はどうしたらいいのか分からないという人に寄り添っていくものであるということを「あとがき」(この「あとがき」がいちばんよかった)に書いてあって、そういうものならもう少し理解していきたいと思った。
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