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山本周五郎『寝ぼけ署長』

2012年09月29日 23時07分03秒 | 文学
山本周五郎に注目したきっかけはNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」の高倉健の回で、山本周五郎の『樅ノ木は残った』についての言及があり、そういえば耐える主人公というのが高倉健の演じる人物と同じなのだなと思い興味を持った。
しかし『樅ノ木は残った』は長いのでどうしようかと思った。
ちょうどどうでもいい作家のどうでもいい小説が読みたい時期でもあり(そういう時期があります)、私にとってどうでもいい作家の筆頭である遠藤周作で読みたいものがないかと探したけど、どうでもよくない小説しかなく、山本周五郎の『寝ぼけ署長』(新潮文庫)を読んでみることにした。
どうでもいい感じでおもしろかった。一応「探偵小説」(最近あまり聞かない言葉だが)なのだが、そこまで論理的であることに拘らないところが良かった。一応密室トリックがあったり、アナグラムの問題があったりした。
最後の話「最後の挨拶」で、旅館で酒を飲んで将棋を指して署長との別れを惜しむところは、昭和っていいなあ、と思った。
旅館に泊まる昭和文学を読みたくなった。太宰治の『富嶽百景』とか。他にも温泉に入って料理を食べて酒を飲んでというだけ、の小説って昭和文学にたくさんありそうなのに思い浮かばない。

黒澤明がなぜ山本周五郎を好きなのかはよくわかった。貧乏人を愛し、金持ちを憎む。
次は『赤ひげ診療譚』を読みたい。
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