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武田百合子『日日雑記』

2014年11月08日 01時02分49秒 | 文学
武田百合子『日日雑記』(中公文庫)を読んだ。
これは大体が「ある日。」という言葉で始まっていて、『富士日記』のようには日にちも曜日も天気も献立も書いてはいないのだが、雑誌の連載の日付で言うと、1988年6月から1991年4月までマリ・クレールに掲載された。
これまで読んだものと並べると、

『富士日記』 1964年7月 ~ 1976年9月
『成城だより』 1979年11月 ~ 1980年10月
『成城だよりⅡ』 1982年1月 ~ 1982年12月
『成城だよりⅢ』 1985年1月 ~ 1985年12月
『246』 1986年1月 ~ 1986年9月
『日日雑記』 1988年 ~ 1990年(?)

となる。
並べて何が楽しいかと言われるかもしれないが楽しい。
『日日雑記』では特に昭和の終りを振り返ることができた。
深沢七郎が死に、飼い猫の玉が死に、大岡昇平が死に、そして天皇が死ぬ。武田百合子の天皇に対する表現は『富士日記』でもそうだったが非常に興味深い。
近所の会社寮の管理人のAさんというひとがたびたび登場するのだが、書名をよく間違える。大岡昇平から本をもらうのだが、その書名を『一補充兵の……』と言う。『ある補充兵の戦い』のことだろう。また深沢七郎の代表作は「ナラヤマセツコウ」と言う。
武田百合子が映画館で松本清張原作の映画を毎日二本見ているときがあり、松本清張は大衆の心を捉えた偉大な作家なのだと思った。あとから見て松本清張を馬鹿にしてはいけないなと思った。時代を代表するものには畏敬の念を持って接する必要がある。もう私は松本清張を馬鹿にしない。
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