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☆村上春樹「東京奇譚集」感想

2007年12月21日 02時24分28秒 | 文学
東京奇譚集村上春樹の短編集「東京奇譚集」の、
「どこであれそれが見つかりそうな場所で」
「日々移動する腎臓のかたちをした石」
「品川猿」
を読んだ。それぞれ、
「氷の微笑」(足を組みかえるところ)
「グレート・ギャツビー」(父との会話)
「千と千尋の神隠し」(名前)
を思い出した。

「どこであれそれが見つかりそうな場所で」は、「オールド・ファッション」の台詞がとっても可笑しかった。会話の相手の少女も良くできていた。ほんとうにすごいと思う。
その前の知的な老人もおもしろい。このような雰囲気を出せる日本の作家ってあまり知らない。海外なら知ってるのかと言えばさらに知らない。
知的なことをもともと知らないか、知っていたらりきんでしまうかどちらかで、さらっと出来るひとがいない。
「偶然の旅人」と、この短編がもっともよくできていると思った。

「品川猿」は途中、大丈夫かなと不安にさせるがやはりうまく着地させる。
自分では気づかないことも猿に言われると気づくということもある。(あるか?)
でもちょっとやりすぎかなあ。五つあってそのなかのひとつがこれであるのは平気だけれど、全部この調子だとつらい。

たぶん若いころは村上春樹の小説に、明日使える言葉を求めていたように思う。つまりはっきりとした結論のようなものを求めていた。
で、短編にもそれを求めるが、いつも終わりはさらっとしているのでなんとなく食い足りない気がしていたように思う。
今回読んでみて、自分の読み方もだいぶ変わったのかなあという気がした。
とってもおもしろかった。
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