「おみやげと鉄道」

2013-09-16 00:00:17 | 美術館・博物館・工芸品
旧新橋停車場(鉄道歴史展示室)で開催中の「おみやげと鉄道展」へ行く。

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まず、日本ってお土産天国のわけだ。ちょっとしたところに行くにも手土産を持っていく。もちろん、TPOによって、その選定はさまざまで、高額の物もあれば、鮮度重視もあれば、軽量のものだったり。数十年前に海外ビジネスにいくためにバッグに高額品を詰め込み、さらに税関対策で職員に渡す小物お土産までもっていったこともあった。

東京発だと、虎屋の羊羹あたりがVIP向けだが欠点は、重いこと。だからといって、今時、草加煎餅じゃ気合ゼロって感じだ。

東京駅などは、手土産と弁当の店が無数にあるし、全国の普通の都市の鉄道駅に行けば、たいてい手土産がある。

ところが、海外にいくと、そういうことにはならない。確かに観光客用の土産店はあるが、そもそもそれは手土産って感じじゃない。

結局、土産って文化は江戸時代の武家社会の「付け届け」に端を発するのだろうか。知れた話だが、武家の家計で最大費目は食費ではなく交際費だったそうだ。贈り物代金で飯が食えなくなることから、「武士は食わねど高楊枝」という標語ができたのかもしれない。

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そして、展示会場で見たのは「赤福」のポスター。以前、売れ残りアンコはがしで有名になったお伊勢土産。ずいぶん昔から手土産になっていたようだ(というか、売り上げのほとんどは手土産なのだろうけど)。

で、展示品を見たり掲載事項を読んだりしているうちに気付いてきたのだが、普通、鉄道に乗って移動してから手土産を使う場合、「地元の物ですから」とかいって持っていくのだが、お土産文化の初期のころは、地元のお土産を持っていくのは失礼という概念があったらしい。「地元品=安い」という前提で、安物を持っていく、ということにあたるとされたらしい。「自宅の庭のミカンの木からもいできました」という感覚だろうか。

倉敷から東京の会社へ持っていく手土産は、「むらすずめ」とか「きび団子」とかではダメで、東京駅で「東京ばなな」とか「アサリの佃煮」とか入手すべきということなのだろう。