バレル・コレクション展(海運王の夢)

2019-06-24 00:00:27 | 美術館・博物館・工芸品
Bunkamuraミュージアムで開催中の「バレル・コレクション展」に行った。何しろ門外不出となったバレル・コレクションである。たまたま現在、グラスゴー郊外にある美術館が改修中ということで日本各地を回るそうだ。

まずウィリアム・バレル氏だが、スコットランドの大都市グラスゴーで船の売買をしていたということになっている。しかし海運王と呼ばれるということは、ギリシア船主のように船を所有していたのではないかとも思える。売買だけで海運王とは呼ばれないような気がする。いずれにしても大金持ちになった彼は1910年頃、50歳でビジネスからリタイアして、グラスゴー郊外に古城を買って、そこに趣味である美術品集めで購入した作品を飾り始める。その数は数千と言われる。



さらに、困ったことに50歳で引退した彼は、97歳まで生きることになる。ということで第二次大戦終結の少し前の1944年にグラスゴー氏に寄付をしてしまう。その時は83歳なので、さらに14年生きるわけだ。

その時の条件が二つ。一つは「空気の汚れた場所での保管はNO!」。二つ目が「国外に持ち出さないこと!」だった。今回、日本にやってきたのは、その時のバレル氏との取り決めを一時的に変更することを女王が裁可したため、となっていたのだが、女王はそんな権利を持っているのだろうか。確かに、EU離脱についても女王が「NO!」というと、離脱できないかもしれないという声もあるそうだ。



今回の目玉は、エドガー・ドガの『リハーサル』。踊り子の楽屋裏である。光の扱いが柔らかくうまい。1874年の作ということは印象派の直前である。ブーダン、セザンヌ、クールベ。まさにフランスである。というのもスコットランドの文化はフランスの文化を反映しているそうだ。日本でいうと、グラスゴーは京都や鎌倉といった古都のようだ。


ところが、英国のEU離脱問題。スコットランドと北アイルランドは離脱反対しているわけだ。そしてスコットランドは大英帝国から離脱希望の国民投票を行いたいと表明しているらしい。そうなると、事実上、英国は終わりになるだろう。

しかも、この30年の英国経済を支えてきたものは北海油田なのだろう。油田の北側はスコットランドエリアに入っている。スコットランド独立は2年先ぐらいかな。結末が見えるまで、コレクションの日本巡回をしていたらどうだろうか。

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