ちんぷんかん(畠中恵著)

2019-12-11 00:00:44 | 書評
しゃばけシリーズ第6巻『ちんぷんかん』は連作短編集。今のところシリーズは19巻まで書かれているが最初の5冊を読んだだけ。先は長すぎるので、どうしようかと思うが5冊で撤退では中途半端すぎる。むしろ、撤退ではなく敗退に近いだろう。とりあえず、ぼちぼちと10冊まで読もうかと思う。もっとも図書館で1巻から順に借りようというのだから多少進捗時間がかかるかもしれない。



『ちんぷんかん』の特徴だが、突如「生と死」がテーマになる。冒頭の『鬼と小鬼』は主人公一太郎が火事に巻き込まれ煙を吸って意識不明になり、生と死の境である賽の河原で目を覚ますことになる。どうも江戸時代でも貧富の差はあって、賽の河原から黄泉の国に渡るにも6文という乗船料が必要なのだが、その金がないと川を歩いて渡らなければならない。

ところが一太郎は火事に巻き込まれた時から、小鬼である鳴家(やなり)を袖の中に入れたままだったため、死ぬ必要のない彼を地上に戻すべく、脱走計画を始めるわけだ。

そもそもシリーズ物なので、生還しないといけないのだが、その仕組みが複雑なわけだ。

そして一太郎の異母兄である松之助の結婚話が始まるのが『男ぶり』。そして、『はるがいくよ』では、一太郎の家に正体不明の赤子が現れるのだが、これが妖(あやかし)。と言っても悪いことはまったく行わない。正体は桜の花びら。つぼみが膨らみ開花し、満開になったら散る。わずか半月の命だ。一太郎は、なんとか彼女の命を助けるために奔走するが、どうなるのだろうか。

今回も多くの妖が初登場。善玉と悪玉と立場不明の妖もいる。一太郎はまだ20歳になっていないが病弱。どうやって大人になっていくのだろうと心配なのだが、そうして著者は読者を徐々にクモの糸に絡めとっていくのだろう。

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