革命? そして、小説「少年棋士」

2010-10-23 00:00:21 | しょうぎ
ここ数日の将棋界最大の話題は、「新人王戦」。年齢制限で奨励会を追われた加來博洋アマと阿部健治郎四段の決勝3番勝負は1勝1敗で最終局を迎える。もちろんプロ棋戦で初めてアマが優勝するのかというのが注目の1点。ゴルフでは石川遼が達成し、プロ入りした。年齢は大きく異なるが。

そして2点目。勝者は、羽生名人との平手対局が約束されている。既得権に安住している既製プロ棋士には、かなりまずいことが起きる予感もある。棋界にとっては革命的な事件になるかもしれない。

なにしろ、主催は、しんぶん赤旗。日本共産党の機関紙である。日本に共産革命を起こす夢はすでに消え失せたのだろうが、せめて将棋界に革命でも起こそうと言うのだろうか。

大注目の一戦は、昨日(10月23日)、将棋会館で行われた。


そして、結果は、・・・

革命失敗である。


もちろん、今回の勝敗で、すぐに加來アマが狙っていたプロ入りが実現できるわけではないのだろうが、たまたま、数日前に読んだ森田誠吾著「銀座八邦亭」という短編集(文春文庫)の中に「少年棋士」という掌編小説が含まれていた。



あらすじは、中小企業の役員を務める「私」という主人公が、銀座の料亭のママの自宅に通っていて、たまたまの留守にかまけて、新橋にある天野八段という売れないプロ棋士が経営する将棋教室に教えを請うわけだ。

そこで相手をしてくれたのが、八段ではなく、奨励会1級の林慈郎少年。地方出身で将棋の神童も東京に来れば、もまれるわけだ。そして初段、二段、三段と上っていくも、定年退職の25歳まであと1年になる。ジロウ君と私の付き合いも長くなり、なかなか四段になれない青年に、飲み屋のカウンターで、「プロになるまでは会わない」約束をして、二人は別れる。

そして一年経ち、青年は行方がわからなくなる。

が、二年経って、突然、ジロウ青年が私の前に姿を現す。聞けば、将棋連盟の特例で退職年限が27歳に延長になり、さらに新設の棋戦の特別枠で13連勝して優勝。特例措置で二階級特進の五段になったということ。

それはめでたい、ということで、ジロウ君の行きつけの銀座の高級クラブに行って大宴会が始まるのだが、私が「ジロウ」と軽い気持ちで呼び捨てにしたことに林五段は腹を立てたわけだ。

「林先生と呼びなさい!」。

この一言で二人は大げんかとなり、ジロウは去り、私の手元に残ったのは大金の請求書だったわけだ。

後日、調べれば、ジロウの話は、すべて真っ赤な嘘。立派な詐欺師として将棋ファンからさまざまな手口で金品を巻き上げていたそうだ。


まあ、あくまでも小説の話ではある。


さて、10月9日出題作の解答。



▲1五飛 △同玉 ▲1七香 △1六香 ▲同香 △2五玉 ▲4三馬 △3五香 ▲2六銀打 △1六玉 ▲3四馬 △同桂 ▲1七香 △2七玉 ▲2八香まで15手詰。

合駒2連発の予定だったが、二度目の香合では銀合でも非限定だったので、参考図で修正。手順は同じなので。

動く将棋盤は、こちらとか、こちら



今週の問題。



どこかで見たことがあるような図かもしれない。初代の大橋宗桂作に中段に3枚追加。

宗桂作と同様に「香の遠打」は場所非限定となる。宗桂作を知っていると解きやすいかもしれないが、このヒントにこだわりすぎないこと。


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2 コメント

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Unknown (蛇塚の坂本)
2010-10-24 17:10:55
最終手○●○までの○●手詰みです。
意外に手数が長いのに驚いた。
通常の香打ち銀合いの定番の裏バージョンみたいで面白い。
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Unknown (葉一郎)
2010-10-24 20:39:12
坂本さま
正解です。意外にきっちり作れた作ですね。
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