俳優緒形拳とその時代

2020-10-18 00:00:19 | 美術館・博物館・工芸品
横浜市歴史博物館で開催中(~12/6)の『俳優緒形拳とその時代』。なぜ、ここで今なのかは定かではないが、晩年は横浜の窓から海の見える家に住んでいたことと、今年10月が13回忌だったからだろうか。


本展だが、資料がたくさんある。パネルや記念品など。何しろ元々は新国劇(劇団名)で活躍を始め、事実上のメジャーデビューが1965年NHK大河の太閤記。主演の豊臣秀吉を演じた。今思っても、どうしてそういう運びになったのかわからない。さらに翌年の大河「源義経」で助演の弁慶を演じる。2年連続でNHKに出続けたわけだ。

特徴のある顔付きなので、秀吉や弁慶の顔もああいう四角形だったのかと勘違いした人も多いだろう。


映画やテレビドラマで活躍を続け、新国劇から足を洗った結果、劇団は衰退し解散ということになった。もっとも劇場で時代劇を見るという習慣自体が廃れたということかもしれない。

無数の映画の中には海外受賞作もあるが、興行的にはサッパリだったようだが「女衒 ZEGEN」という映画があった。「女衒」というのは女性の性的人身売買のブローカー。今や「人類の敵」ということだろう。ところが、米国で奴隷売買が禁止されたずっと後でも日本では女衒が職業として存在していて、特に日露戦争後、中国・東南アジアへの日本人の進出に合わせて海外遊郭が増加し、日本から女性が遊郭で働くことになり、元々、その気がなかった村岡という男が、業界に足を突っ込み大富豪になってしまうわけだ。

緒形拳は、その村岡を怪演する。日本が帝国主義に走るのに協力して女衒仕事で金を儲けるというのを肯定的に演じるので、「緒方ってそういう男だったのか」と思われたらしいが、戦前の映画じゃないのだから、そういう非人道的な男を演じることが逆説になっているというべきで、他の映画でも同じような構造が多い。

ところが緒方拳や三國連太郎といったパワフルな男優だが、現在の日本では欠員中というべきだろうか。パワフル女優が多すぎるような気もするので、変名の上、男装出演で倍稼いだらどうだろう。綾瀬春夫とか宮沢利一とか・・


なお、横浜市歴史博物館と神奈川県立博物館を間違える人が多いそうで、間違えないようにHPに注意が書かれている。まったく違う場所で、修正するには市営地下鉄で30分位かかる。間違える人は確信的に間違えているので、途方に暮れてからHPを見ることになるのだろう。さらに横浜開港資料館と開港記念会館というのも間違える人は多数(私もかつて間違えた)だが、こちらは徒歩5分の距離である。