南紀(紀三井寺)

2020-10-22 00:00:48 | たび
先週末、和歌山へ旅行に行った。単独で行くよりも、旅費、宿泊費、ガイド料金のすべてをパックにした方が、還元額が多いので、某旅行社のパック旅行に参加。まあ、個人旅行の方がいいのだが、実質50%バックの魅力は大きい。

まず、南紀ということばと紀南という言葉がある。南紀とは紀伊の国の南ではなく、南にある紀伊の国という意味で、おおむね和歌山県を指し、紀南とは和歌山県の南を指すので南紀の紀南というと和歌山の南という意味になる。

前回、和歌山に行った時は、関空、和歌山城、友ヶ島といったところから大阪へ北上したが、今回は新大阪からバスで南下。和歌山市にある紀三井寺へ。今年は開創1250年。50年に一度の秘仏御本尊御開帳ということ。大行事である。50年に一度と言うことは、和尚様方も経験はないし、コロナによって前例主義も使えない。



まず、山の途中にある本堂まで一直線の石階段がある。三百段以上だ。しかも小雨。手すりをつかみたいが、感染リスクもあるのですぐにつかめるように手を手すりに近付けた状態で登る。心臓に優しくない。マスクなので酸素不足でもある。来月になるとエレベーターが動き出すそうで、ここで心臓が止まると、「一ヶ月後に来れば悲劇は起きなかったのに・・」と言われそうなので、肺の底にある最後の酸素を使う。



そして、境内に辿り着く。木造の本堂の奥に今回公開された「本尊・十一面観世音菩薩立像」と「千手観世音菩薩立像」が並ぶ。両仏像とも開山した時の為光上人の手彫だそうだ。



そして、新型の「大千手十一面観音像」総漆金箔張木造立像としては日本最大である。あまりに新しい。



珍しく84円切手が貼られた塚がある。『文塚』といって全国の郵便局で、差出人も郵送先も不明のため行き先不明になった手紙類を集めて供養するための塚だそうだ。



さらに幸福観音という仏像が立っている。「(第二次大戦で)敗戦後、中国大陸からの脱出行はドイツのユダヤ人虐殺にも比すべき惨状をきわめた。国家に軍に見捨てられた非戦闘員や婦女子幼童の多くは。飢餓死疫に倒れ・・・・荒野に屍をさらした。・・・」



偶然にも読んでいる途中の、「赤い月(なかにし礼著)」にも同様の惨状が書かれている。裏を返せば、日本国、日本軍が行ってきた蛮行に対する返礼ともいえるわけだったのだろう。こういう碑は全国にあるのだろうか。

なお、寺院の敷地内には、飲めば現世の罪がすべて消えるという魔法の湧き水があるのだが、きょう罪が消えても、明日の罪までは消えないため罪深い人にとっては効果は限定的だろう。