『かもめ食堂』、ついに満席

2010-01-24 00:00:03 | 映画・演劇・Video
新型インフルの熱も下がり、咳は残っているが、まあ気にしないで社会復帰をしようということで、あれこれと情報収集すると、少なくても5人にうつした容疑が高いことが判明した。もちろん、その他にも電車の中とか、ゴルフ場のキャディさんとか、そのあたりの状況は不明だ。誰からうつされたのかわからないが、誰にうつしたのかわかるというのも困った状況だ。

kamome1食事も問題なく食べられるようになったので、やっと『かもめ食堂』を観ることにした。自宅にある未視聴の映像在庫は「キル・ビル」と「かもめ食堂」、そして「おくりびと」。まあ、順に「キル・ビル」を見た後、「かもめ食堂」に着手。「おくりびと」を見て豪快に笑う気力は、まだない。


どういうわけか日本ではなくヘルシンキにレストランを開いたサチエさん(小林聡美)。日本食堂のメインメニューは“おにぎり”。梅、しゃけ、おかかである。(オニギリがメインになったのには、ある切ない理由があるのだが、ラストの方で明示される。)が、当然ながら、それじゃ、お客さんは入ってくれない。最初のお客さんは日本かぶれの男子学生。

その後、はっきりしない理由でヘルシンキにたどり着いた日本人女性観光客が二人、最初は客として、その後店員にもぐりこむ。不法外人労働者?

2006年の映画で、いわゆる「癒し映画」というジャンルらしい。日本人の得意分野だ。多くは瀬戸内海の島が舞台になるが、荻上直子監督はヘルシンキに設定。ニシンが好物なのだろうか。

この映画のいいところは、癒し系でありながら、先のプロットが読めないこと。なんでも突然事態が変わる。新たなお客さんが入店し、何かメニューを選んでから、すべてが始まる。

メニューはついに妥協して、「シナモンロール」や「鮭フライ」が登場。細かく見ていると、「鮭の切り身の網焼き」も人気だ。フィンランド人も鮭好きだ。

kamome2ただ、鮭といってもオニギリはまったく売れない。日本人が食べるだけだ。ついに、オニギリの現地化を図るが、具をニシンやトナカイの肉にしたら、今度は口に合わない。個人的には、黒い紙みたいな海苔を巻くのが受けない理由ではないかと思うが。

まあ、そんなことやりながら、ついにはレストランは満席になり、癒し映画には珍しくハッピーエンドとなる(本当は、違うような気がする。その後の「かもめ食堂」の運命について考えると、たいていは従業員の仲違いとか、地元の保健所の立ち入り検査とか、みかじめ料を集めに来る地元マフィアとかが現れたりするものだ)。


ところで、ついでにオニギリの話。2010年1月8日「古代『おにぎり』から見えること」で触れたのだが、縄文時代のオニギリの化石が見つかったそうだ。縄文末期には、男は狩りにいて女は稲作を行うというような半農半漁(猟)という生活だったのだろう。女(妻)から見れば、貴重な食料でオニギリを持たせて、手ぶらで帰ってくる男(夫)なんか、粗大ゴミ以下ということだったのだろうか。

当時の食材を考えると、オニギリの具としては、アサリの煮付けとかだったのだろうか。干しワカメで巻いた古代米のオニギリ。やはり映画の中でも言われていたが、「オニギリは日本のソウルフード」ということなのだろうか。何か家族の絆の証明のようなものだったのだろう。

ところで、個人的には、「たらこ」が好きだ。「明太子」は好きじゃない。日本の味ではないなあ。