人気blogランキングへ 今日は北関東は38℃と非常に暑く、出掛けた方はオーバーヒートは大丈夫でしたか?
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油冷エンジン
最近のプレスリリースでスズキバンディットが油冷エンジンの最終エディションとして発売されるとありました。
1985年にリリースされたGSXRに搭載された油冷エンジンは、車両の姿カタチを変えながら基本設計はそのままに20年以上も長生きした数少ない例ですね。プレスリリースではバンディットが最後なのか、油冷エンジンが終わりなのかハッキリ分かりませんけれど、タブン排ガス規制に対応できないので、あの油冷エンジンが終わりなのでしょうね。
写真は矢田部でGSFに搭載して、アクセル戻して287km/hを記録したエンジンそのものです。
緑矢印が潤滑と別系統でオイルを送るパイプです。赤矢印はショベルエンジンのオイルパイプですから、比較すると口径の違いが分かります。
ヘッドカバーにもオイル通路があり、矢印のように分配しています。
分配されたオイルは矢印のパイプで導入されます。
パイプの先端は燃焼室の上に向けられ、熱境界層を壊して冷却させるべく吹き付けられるようです。
何も着いていないヘッドで見ると、矢印の位置が冷却用オイルパイプになります。
緑矢印は例のMHeのオイルクーラーです。純正装備にしては結構な大きさですね。
赤矢印はGSXR1100の巨大なオイルクーラーです。140馬力級ではこれだけの容量が必要です。
写真ではお見せできませんが、この油冷エンジンのオイルポンプの容量は大きく、送油パイプの大きさからも大量のオイルを冷却に使っているのが窺えます。まあ、水と違い低温での流動性が悪いオイルでは、大容量オイルポンプは駆動ロスが大きくなりますね。
それまでは冷却形式が空冷と水冷しかなかった当時の運輸省の分類に”油冷”を付け加えさせた、このエンジンはコンナに手が込んだ作りになっているのも知らなかった方は多いのではないでしょうか。
これはスズキグースのシリンダーヘッドで、これも油冷になっていて潤滑オイルの一部が赤破線のように通っていて、排気バルブガイド付近を冷却します。
それだけでなく、矢印の燃焼室のコッチ側が露出していて、カム付近を潤滑し終わったオイルが戻り際に冷却するようになっています。
これはエボエンジンのヘッドですが、普通の空冷では矢印のように燃焼室の上側が空気に触れるようになっていて冷却に寄与していますが、油冷エンジンはこういう構造ではないため、オイルクーラーの容量を大きく求められるとも考えられます。
水冷エンジン
エンジンの冷却液,クーラント
シリンダ内壁温度を 150°C としますと,冷却液側の金属壁の温度は 135°C くらいになり,たいていは冷却液の沸点よりやや高めです.一方,流れている冷却液の温度は 100°C 以下です.冷却液側金属壁表面では冷却液が沸騰して泡が出ます(バブリング)が,流れている冷却液のところにその泡が到達すると液に戻ります.バブリングによって冷却液側金属壁表面がかき乱されるこういう状態はサブクール沸騰と呼ばれます.サブクール沸騰での熱伝達は強制対流熱伝達の数倍の熱移動能力があります.バブリングによって冷却液側金属壁表面がかき乱されるためです.教科書などにはあまり書いてありませんが,エンジンの冷却はこのようなことになっているはずです.
それゆえエチレングリコールの濃度を上げすぎて,冷却液の沸点が金属壁表面温度より高いと,サブクール沸騰ではなく,強制対流熱伝達となって,却ってオーヴァヒートしやすくなります.冬の北海道でしばしばオーヴァヒートが起こるのは,これが理由であると考えられます.また,空冷に較べて水冷の冷却能力が安定なのはサブクール沸騰の効果に助けられてのことと思われます.
ほどほどのエチレングリコールの濃度にしておくことが必要でしょう.(引用元)
話は30年委以上前ですが、ワーゲン(ビートル)の雑誌広告で”水は沸騰するが、空気は沸騰しない”というのを思い出しましたけれど、沸騰することで冷却効率が良くなるなどって・・・。
と実は水冷エンジンでも冷却に余裕があるわけではないのです。大量の冷却水を使い、最近では(でもないか?)温度でコントロールできる電動ファンのお陰で、オーバーヒートするクルマは余り見かけませんが、クーラントの濃度だけでも・・・・?
正常に機能していれば安定した温度を保つ事が出来るのは水冷エンジンならではのもので、スペース的に許される限りの大きさのラジエターとファンを設置すれば、ほとんどの場合どんな暑いところでもオーバーヒート知らずで・・・。お陰で南風が吹くと東京の熱気がワタシの住む近辺に吹き寄せられますが・・・。
ところが、どんなに大容量のラジエターを備えていても、ファンが回らなかったらオーバーヒートしてしまいますね。熱境界層は温度差のあるところなら何処でも存在して、ファンや走行によって空気が移動しなければ、熱の放散はおこらずラジエターは”お湯のタンク”になってしまいます。
空冷エンジン
ハーレーダビッドソンは新車開発ではアリゾナの砂漠でもテストしているようですが、東京砂漠のほうが条件は厳しいのではと思わせます。渋滞路では路面温度の高さに付け加え、道路上に溢れるばかりの熱源があり、更に空気に比べ比熱の高い水分が湿度としてあるのですから、ヒートテストでOKでも東京砂漠では・・・?
水冷エンジンでは冷却の60%が水で、残りのほとんどがオイルによる冷却とありましたが、そのほかに空冷と同じ表面放熱も多少あるでしょう。空冷エンジンのフィンは表面放熱のほとんどを受け持っているように感じますが、冷却フィン②で説明したようにフィンを大きくしたところで冷却性能が大幅にアップはいたしません。
ここで90さんの疑問にお答えしてみましょう。
オイルの容量アップは?
オイルの比熱は水と較べて半分と小さく(オイルがテンプラ油と同じと考えて。参照)しかも一般の水冷と較べて流量も遥かに少ない潤滑オイルの総量を増やしても、常識的に可能な50%アップ程度では、渋滞に突入以前の温度が既に充分高い通常の運転状況だとすると、温度上昇を抑えられるのは長くて数分ではないでしょうか?
80年代のBMWフラットツインはオイル容量が2Lと、トランスミッションの潤滑が別になっていたとしても少なく、状況によってはオーバーヒートに悩まされました。当時は高度なスペシャルパーツのリリースも少なく、ポリス用と思われる0.7L(だったと・・・)アップのオイルパンが輸入されていた憶えがあります。ハーレーのようなドライサンプではないウエットサンプのエンジンではオイルクーラーを後付けすると、エンジン内を潤滑するオイル量が減ってしまったり、オイルフィルターと並列に配管することになったり、必ずしも理想のように行かなくなり弊害のほうが大きくなったりもいたしました。こういった場合に弊害がない方法として、オイルパン容量を増やす方法はよかったのではないでしょうか。
ハーレーにおいてオイル容量を増やす方法としては、オイルタンクを変更したり、オイルクーラーの取り付けによって容量が結果的に増える等が考えられますが、ラバーマウントエンジンのモデルのようにトランスミッションの下部に密着しているオイルタンクはどうにかしたい位置です。ミッション自体の発熱量は大したことは無くても、まるでエンジンのヒートシンクの一部のようになっていますから、放熱という観点ではどうでしょうか?タンクの下にヒートシンクやフィンをつけたくてもロードクリアランスがありません。オーバーヒートの原因の一つ?
オイルクーラーは?
オイルクーラーはホンダがCBX400において標準装備する前は(話が飛びますが)F1レースでさえ暴走族を助長するという社会的見解があった時代で、オイルクーラーもレースを連想させる?ことで当時の運輸省が許可しなかったという信じられないことでした。
オイルクーラーは一般的には油温を下げる有効なアイテムです。しかしファンのないラジエターと同じで、走行風がない状態では熱境界層が邪魔して有効な熱交換ができません。しかし、走って風が当れば油温が120℃だとしても、環境温度が20℃でも50℃でも温度差がダイブありますので、有効に働くでしょう。
しかし、90さんの本当に知りたい事は渋滞を含む日本の夏を乗り越えるのに、有効な手段ということだと思います。ロックハートの小さいオイルクーラーでも、25℃くらいの気温ではスポーツスターのオイルタンクで腿が熱い思いをしなくて済むくらいの役目は果たしますから・・・・。
油冷でエンジンを冷やすシステムは、空冷のオイルの使い方と違うことがお分かりいただけたと思います。元々通常の空冷エンンジンでも冷却の役目は少なからずありますが、少々の改善では通風がハーレーより格段に良い条件で、かなりの力を注いで開発したBMWの新世代フラットツイン(それでも完全に日本の夏をトラブルフリーで過ごせるかは分かりません)のようには行かないかもしれません。
と。答になっているか分かりませんが、本当に日本の夏は厳しいですね。これで南国のようにもっと暑ければ乗る気にもならないのかもしれませんね。
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ご満足頂けたか分かりませんが、熱問題には様々な要素が入り組んでいます。
是非、ご自分のバイクにあった設定を探しだしてください。
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
理論も実験もなく結論を見出せるわけではないですね。
ということで、データを取って効果の確認ができれば面白いのではと思います。
所詮素人ですので限られてていますが、オイル、ヘッドの温度変化に注目しています。
単純にオイル自身が量を増やすことにより熱しにくく、さめやすい状況がどの程度できるか見てみたいです。
ワタシがコメントを書いているうちに、ブローチさんの投稿があったようです。これからも宜しくお願いします。
早速ですが、US05 1200Rさんが補足していただいているように(何時もありがとうございます)
”表面で出来た気泡は冷却水内で再凝縮する程度のサブクール度ですね。”であると思います。
引用文でも水蒸気の泡が消える時に熱の伝達が大きくされているとも書いてあります。
こうした疑問は歓迎ですから、これからも突っ込んでください。
BOBさん、
常識的なオイルクーラーの容量アップは効果有りと書いたつもりです。
圧縮比が12もあると市販のハイオクガソリンでは気温が高い時期にはノッキングも起こりやすく、オーバーヒートはある意味当然と言えるかもしれません。
クラッチが滑ると更に油温が上がる要因になります。
フリクションプレートが異常に減ると磨耗粉がエンジン内部に回ってしまい、それだけでも故障の原因になりそうです。
圧縮比は12:1ぐらいです。
オイルクーラーの容量アップは
オイルポンプ容量のアップをしないと意味がないんですね~
ひとまずクラッチスプリングの張力をアップさせて見ます。
私も専門家では有りませんが、感覚的にサブクールでないと冷却できない・・・と言うほどギリギリの物では無いかなと・・でなければエンジンを止めた瞬間に膜沸騰しますよね。
高濃度不凍液の冷却能力はどちらかと言うと熱容量に起因する物かと思います。エチレングリコール100%だと水に比べて熱容量は半分以下になりますから・・・実際に粘度の関係でポンプ能力や境界層条件にも悪い方向で影響が有ります。
(凍らなければ)水に優る冷却媒体は無い・・・ハズ
90℃前後でサーモスタットが全開になり、105℃前後でファンが回転する事も考慮すると、冷却水が部分的にも沸騰する事は無いように思いますがいかがでしょうか。
サブクール沸騰する場合、冷却水路温度や冷却水流量の変化によって、サブクール沸騰が発達した核沸騰に変化してしまう事も考えられます。
その場合、冷却水路内を液体と気泡が一緒に流れると、気泡の分だけ実際の冷却水路が減少するために、冷却水が流れ難くなって冷却能力が低下するように思われます。
以上、シロウトの浅はかな考えですが、ご回答頂けたら幸いです。
早速ですが、圧縮比はどの程度ですか?
チューンの度合いによっては、夏の本当に暑いときは、乗るのを控える必要もあると思います。
オイルクーラーは余り大きくしても、ポンプの能力によってはクランクケースに残るオイル量が増えてしまうと逆効果ですが、常識的に大きくすれば効果はあります。
クラッチはスプリングの張力不足のような気がしますね。
いつもためになる楽しいブログをありがとうございます。
とても勉強になります!!
今回の話しネタ「冷却」に関して特に関心があります。
私のオートバイはスズキDR350Sという油冷バイクです。
エンジンをボアアップして排気量を443ccにしています。
油温が高くなりすぎクラッチがすぐに滑ってしまいます。
クラッチディスクの寿命も短いです。
(クラッチプレートはcmp加工したものでクラッチディスクとスプリングはFCCの商品です。)
そこでエンジンをばらしてオイルの通路
(カムチェーンの入るところやシリンダーヘッド)
のバリ取りをしてオイルキャッチタンク(DRはフレームです)に入る直前にオイルクーラーを付けました。
この作業でかなり症状は改善されたのですがやはり加減速速を繰り返すとクラッチは異常に減ります。
何か良い冷却性能を上げる方法はないものでしょうか?
やはりコアの段数を増やすのが一番良いのでしょうか?