三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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朝鮮学校への差別に反対

2018年10月28日 | 『会報』
 千葉県には、たった1つ、朝鮮学校があります。千葉市花見川区にある千葉朝鮮初中級学校です。幼稚班もあり、幼い子から、15歳ぐらいまでの生徒たちが通っています。2年生のクラスは5~6人ほどでした。県南から通うのは困難でしょう。さまざまな理由で、生徒が減っているそうです。

歴史――――――――――――――――――――――――――― 
 1945年、日本の敗戦後、日本にいた朝鮮人たちは、子どもたちに朝鮮語を教える「国語講習所」を各地に開きました。翌年4月から「初等学院」に改編し、千葉県では、千葉、船橋、柏、木更津、茂原、横芝、館山の7校ができました。
 しかし48年に入り、GHQと日本政府は、朝鮮人が作った学校を弾圧しました(文部省通達「朝鮮人学校設立の取扱について」第一次学校閉鎖令)。大阪では、府庁をとりまく反対を訴えるひとびとに対し、警察隊が無差別発砲し、16歳の金太一氏が殺されました。
 49年、文部省と法務省共同の通達(「朝鮮人学校に対する措置について」)が出され、二度目の閉鎖が命じられます(第二次学校閉鎖令)。千葉県では7校の初等学院は全て閉鎖され、子どもたちは日本学校に強制編入されました。それでも曽我小学校と船橋小学校の放課後、子どもたちを集めて、「民族学級」という形で続けられました。各地でも民族学級という形で続けられていきます。
 千葉朝鮮初中級学校は、51年9月、自分たちで校舎を建て直し、自主学校として再出発しました。
 68年に、朝鮮大学校(東京都小平市)が認可を取得し、75年までには、全ての朝鮮学校が各種学校としての学校法人認可を得ました。

朝鮮学校への差別――――――――――――――――――――― 
 高野連、高体連に参加させない、JR定期券の学割を認めない、国立大学の受験資格を認めないなど、さまざまな差別があり、粘り強い反対運動が続けられ、権利を獲得したものもあります。
 国立大学の受験資格については、各大学が審査するとなっていて、いまだに文科省としては認めていません。各自治体から出されていた補助金も、いろいろな理由を付けて、削減・不支給にしてきています。
 千葉市は、これまで、「地域交流事業」補助金として、千葉朝鮮初中級学校に約50万出していたのを、2017年度は不支給を決定しました。美術展への補助金だったのですが、そこに生徒が描いた日本軍による性奴隷制度被害者の絵があり、「解説で日韓合意を否定する等、目的に反すると判断」(千葉市長のTwitter)したからだというのです。
 2010年、高校無償化法ができ、インターナショナルスクールはこの法律の適用となりました。同じ各種学校の外国人学校でも朝鮮学校だけが適用除外とされ、各地で反対運動、裁判闘争が続けられています。
 ことし6月、神戸朝鮮高級学校の修学旅行で朝鮮民主主義人民共和国から帰国した生徒たちのお土産を、関空の税関職員が「上の指示で輸入が禁止されているから」と、「任意放棄書」を生徒たちに強制的に書かせ没収しました。

日本政府は在日朝鮮人の民族教育を保障すべき――――――――
 在日朝鮮人の大半は、日本の植民地支配により、朝鮮から来日せざるを得なかった、強制連行されたひとびとの子孫です。日本政府は、植民地支配の反省、戦後補償の立場に立てば、在日朝鮮人の民族教育を謝罪とともに、保障すべきです。
 千葉市の補助金不交付の理由については、朝鮮人の子どもたちに、民族が受けた被害を表現するなと、加害者の日本人が強制しているのと同じことです。
 神戸朝鮮高級学校生のお土産没収も、むごい、恥ずかしい行為だと思います。

日本学校の教育はどうか――――――――――――――――――
 いま、在日朝鮮人の子どもたちのおおくは、日本学校に通っています。
 いろいろな国籍、民族の子どもたちがいる日本学校で、「ヒノマル」を体育館に常に掲げ、式となると「キミガヨ」を流し、愛郷心だとか、愛国心を道徳の教科書で押し付ける教育は、支配的で、暴力的です。Jアラートの避難訓練のとき、在日朝鮮人の子どもたちはどんな気持ちでいるのでしょうか。
 日本政府は、日本学校の支配的な、暴力的な教育を改め、朝鮮人、いろいろな国籍、民族の子どもたちの民族教育が保障される教育を行わなければなりません。


千葉朝鮮初中級学校に関わらせてもらって――――――――――  
 千葉朝鮮初中級学校の校舎に入ると、1階には、生徒たちの集合写真が貼ってあります。写真は白黒から色付きへ、校舎も新しくなっていき、人数も減っていっているのが分かります。
 教室にある時間割を見ると、日本学校よりもたくさん詰まっています。科目数が多いからです。
 千葉朝鮮初中級学校関係の催し物があると、校長先生がお誘いを送ってくれます。集会もありますが、バザー、フェスタという名の催しは、おいしい食べもの、楽しい出店がたくさん出ます。うちの地域の小学校の半分ぐらいの広さの校庭に、いす、机を並べ、舞台が設置され、出し物もにぎやかです。家族でとても楽しみにして、参加させてもらっています。
 校庭の4分の1ほどのところでは、たくさんの七輪を囲み、いい匂いをぷんぷんさせて、大人たちが楽しんでいます。
 生徒たち、親、関係者たちが、朝鮮語、日本語が混ざり合ったことばであちこちで話しているのを聞くと、共同体だなと感じ、日本人のわたしがお邪魔をしている気もします。
 千葉朝鮮初中級学校は、うちの地域の小学校よりも催し物の回数が多く、大々的で、参加する大人が多いです。準備、片づけをする先生たちは大変でしょう。
 生徒たち、親、関係者、地域の日本人、おそらく考え方はさまざまかもしれないけれども、支援する日本人が集まってくる場となっています。
 朝鮮学校は在日朝鮮人のものだと実感します。千葉県に住む日本人であるわたしは、千葉朝鮮学校への差別に反対し、ささやかですが、ともに行動を続けたいと思います。

                                          日置真理子
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