三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

戸田彰子裁判長忌避申立却下決定に対する「特別抗告理由書」

2013年09月26日 | 紀州鉱山
 きょう(9月26日)、紀州鉱山の真実を明らかにする会は、最高裁に、戸田彰子裁判長忌避申立却下決定に対する「特別抗告理由書」をだしました。
 この「特別抗告理由書」をだすまでの経過は、このブログの7月4日の「きょう津地裁で」、7月5日の「開廷直後に裁判官を忌避した理由」、および8月6日の「戸田彰子裁判長忌避申立却下決定に対する即時抗告」、8月19日の「戸田彰子裁判長忌避申立却下決定に対する即時抗告理由書」、およびきのう(9月25日)の「名古屋高裁裁判官が津地裁での不正な訴訟指揮を追認」をみてください。
 戸田彰子裁判長忌避申立却下決定に対する「特別抗告理由書」の本文の全文は、つぎのとおりです。

■特別抗告理由書■                    2013年9月26日  
    原審 津地方裁判所 2013年(行ク)11号
         (戸田彰子裁判長忌避申立事件)
    基本事件 2013年(行ウ)第13号
          (2012年度固定資産税賦課処分及び減免不承認処分取消請求事件)
■特別抗告の理由
1.「裁判の公正を妨げるべき事情」と公正な裁判の本質
 名古屋高裁民事第2部の林道春裁判長、内堀宏達裁判官、濱優子裁判官の2013年9月4日付、「戸田彰子裁判長忌避申立却下決定に対する即時抗告棄却決定」(以下、「決定」という)は、
   「裁判官の忌避の原因としての裁判の公正を妨げるべき事情とは、裁判官と事件との関
   係からみて、偏頗不公平な裁判がされるであろうとの懸念を当事者に起こさせるに足り
   る客観的な事情をいうものであるところ、裁判官が同種の事件にかつて関与したことは、
   上記の裁判の公正を妨げるべき事情には当たらず、基本事件に関しても、戸田裁判官が
   前件訴訟において裁判長を務めたことは忌避事由には当たらないというべきである」
と、「裁判の公正を妨げるべき事情」について書かれている。
 憲法32条は、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」というものであり、「何人も、裁判所において公正な裁判を……」とは書かれていないが、もちろん、憲法32条に書かれている「裁判」とは「公正な裁判」でなければならず、「不公正な裁判」であってはならない。
 裁判において良心にしたがわず不公正な訴訟指揮をおこなう裁判官は、憲法32条および憲法76条3項(すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される)に違反している。
 林道春裁判長ら名古屋高裁の3裁判官の「決定」は、事件番号「2011年(行ウ)第3号」訴訟(以下、対熊野市第一訴訟とする)における不公正・非良心的で憲法に違反している戸田彰子裁判長の裁判・訴訟指揮を追認しており、そのことによって原告(特別抗告人)らの公正な裁判を受ける権利を侵害しており、憲法に違反している。
 対熊野市第一訴訟において不公正・非良心的な訴訟指揮をおこなった戸田彰子裁判長が、対熊野市第二訴訟においても同様の不公正・非良心的な訴訟指揮をおこなおうとする危惧を原告(特別抗告人)らがもつのは、戸田彰子裁判長が公然と真摯に対熊野市第一訴訟における訴訟指揮を自己批判し謝罪していない以上、当然のことである。
 この原告(特別抗告人)らの危惧は、公正な裁判の本質、基本的人権、社会正義にかかわるものである。
 公正な裁判とは、基本的人権を守り、全世界的な社会正義の実現に寄与しうる裁判のことである。
 対熊野市訴訟は、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人の追悼碑の敷地に課税するという熊野市の基本的人権の侵害行為に抗議し、社会正義に反する熊野市の行為に抗議する訴訟である。
 したがって、対熊野市訴訟における公正な裁判とは、熊野市の基本的人権を侵害し社会正義に反する行為の内容と本質を具体的に、その違法性を明らかにしようとするものでなければならない。
 そのような裁判を実践しようとしない裁判官の訴訟指揮を原告(特別抗告人)が認めず、忌避するのは当然のことである。

2.「基本的論点」を審理しない裁判を追認した「決定」
 「決定」は、2013年7月26日付で津地方裁判所民事部の山下隼人裁判長、井口礼華裁判官、荒木雅俊裁判官がなした「戸田彰子裁判長忌避申立却下決定」と同様、対熊野市第一訴訟において戸田彰子裁判長が訴訟の基本的論点を審理せず、戸田彰子裁判長が不公平な裁判をおこなった事実をなんら審理していない。
 名古屋高等裁判所民事第2部の林道春裁判長ら3裁判官は、「決定」の「理由」のなかで、
   「抗告人らの上記の主張は、結局、前件訴訟における戸田裁判官の裁判長としての訴訟
   指揮又は審理の方法が不当であるとしてこれを非難するものにすぎず、基本事件に関し、
   戸田裁判官について裁判の公正を妨げる事情があるということはできない」
と述べているが、戸田彰子裁判長は、本訴訟の基本的論点である①植民地支配と強制連行、強制労働により、紀州鉱山の真実を明らかにする会が追悼碑建立時までに調査しただけでも35人の朝鮮人を死に至らしめた歴史的事実とその責任の所在、②朝鮮人犠牲者を追悼する土地の公共性・公益性、③熊野市が、紀州鉱山で亡くなった英国人の「墓地」を熊野市の文化財としながら、同じく紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の建立に関しては敷地提供を拒絶した差別対応を審理しなかったのである。
 戸田彰子裁判長は、基本的論点にかかわる諸事実を具体的に審理しないで超短時間の不公正な裁判をおこなって、追悼碑の土地の公共性を否定し、正義と人道に反する判決をおこなった。
 このような戸田彰子裁判長の訴訟指揮を「公正を妨げる事情があるということはできない」とした「決定」は、憲法32条に違反している。

3.「裁判官と事件の関係」について審理されていない「決定」
 「決定」は、「理由」のなかで、
   「裁判官の忌避の原因としての裁判の公正を妨げるべき事情とは、裁判官と事件との関
   係からみて、偏頗不公平な裁判がされるであろうとの懸念を当事者に起こさせるに足り
   る客観的な事情をいうものであるところ、裁判官が同種の事件にかつて関与したことは、
   上記の裁判の公正を妨げる事情には当たらず、基本事件に関しても、戸田裁判官が前件
   訴訟において裁判長を務めたことは忌避事由には当たらない」
と述べているが、「裁判官と事件の関係」を本訴訟に即していうのなら、裁判官に求められるのは、憲法第76条第3項の遵守であり、裁判官は、職務上、当然に、日本の植民地支配と強制連行・強制労働という歴史的事実について知識を深め、良心に基づいて審理をすることが求められているが、この点について、戸田彰子裁判長は、前回の訴訟において全く無視し審理しようとしなかったのであるから、今回の訴訟においても、「偏頗不公平な裁判がされるであろうとの懸念を当事者に起こさせるに足りる客観的な事情」がある。
 前回の訴訟で基本的論点を審理から外した戸田彰子裁判長に、公正な裁判を望むことを期待することは不可能である。したがって、名古屋高等裁判所民事第2部の林道春裁判長ら3裁判官がこの点についての事実関係を審理することなくなした、2013年9月4日付の「決定」は、公正な裁判を受ける権利を保障した憲法32条に違反している。

4.棄却した理由が示されない「決定」
 「決定」は、「理由」のなかで、
   「その他一件記録ママ録を精査しても、基本事件に関し、戸田裁判官について裁判の公正
   を妨げる事情があるとは認められない」
と述べている。精査したならば、その精査の結果、「事情があると認められない」と結論した理由が示されなければならない。
 具体的になにをどのように精査したのかが示されることなく、また、理由が示されることもなく棄却されたため、原告(特別抗告人)は憲法32条「裁判を受ける権利」を侵害された。


 林道春裁判長ら3裁判官が「決定」をだすまえに精査したとはいえない対熊野市第一訴訟における戸田彰子裁判長の裁判の問題点を以下に記す。

1).戸田彰子裁判長は、紀州鉱山への朝鮮人強制連行と紀州鉱山での朝鮮人強制労働とそ
   の責任にかかわる事実審理をしなかった
 人を連行し、酷使し、死に至らしめることは明らかな犯罪である。
 強制連行・強制労働は、日本の行政と企業によってなされた犯罪であり、この犯罪を立案・実行あるいはこの犯罪に加担した日本政府、三重県、熊野市、石原産業には、直接的・間接的実行犯としての重大な歴史的責任がある。
 熊野市は、その歴史的責任を果たそうとせず、それどころか紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する土地に課税するという、社会正義に反する行為をおこなった。この土地は、紀州鉱山の真実を明らかにする会が、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑を建立するために原告(特別抗告人)らを名義上の登記人として購入したものである。
 この土地にたいする土地税の課税に関する訴訟においては、紀州鉱山への朝鮮人強制連行と紀州鉱山での朝鮮人強制労働とその責任にかかわる事実審理をおこなうことが不可欠である。それにもかかわらず、戸田彰子裁判長は、この基本的な根本問題にかかわる事実審理を強権的に回避した。証人調べも現場検証もしようとせず、原告(特別抗告人)に弁明の機会を与えず、被告熊野市に固定資産税の課税算定額を書証として提出させ、訴訟の論点を税額が適正か否かの問題にすりかえ、総計30分にも満たない2回の口頭弁論で、実質審理をしないで弁論を終結させ、判決を下した。
 対熊野市第一訴訟で、戸田彰子裁判長は、法律の適用にあたって、司法が行政から独立して社会正義を実現するために努力するという裁判官の当然の社会的任務を放棄していた。
2).戸田彰子裁判長は、朝鮮人追悼碑の敷地の公共性を客観的・歴史的に審理しなかった
 戸田彰子裁判長は、他の多くの自治体が、強制連行され強制労働させられた朝鮮人・中国人犠牲者の追悼碑の建立に公共性を認め公有地を提供している事実や強制連行の調査活動に公的補助をおこなっている事実や、熊野市(旧紀和町)が「英国人墓地」における「慰霊祭」に市費を支出している事実や、熊野市が「英国人墓地」を熊野市の文化財に指定している事実などを審理することなく、超短時間で判決した。
 戸田彰子裁判長は、公共性にかかわる客観的事実を審理せず、判決を下すための基本的・根本的根拠についての審理を怠った。
3).戸田彰子裁判長は、朝鮮人強制連行・強制労働という歴史的事実を審理の対象から外し
   た
 朝鮮人強制連行は、日本の法律に基づいた国家的事業であり、公共の行為であった。
国家の公共的な行為の犠牲となった者にたいする反省、謝罪、賠償、追悼は、公的になされなければならない。
 しかし、日本政府は歴史的事実を明らかにしようとせず、侵略犯罪にたいする反省もしようとしていない。これは道義に反する。
 日本政府の侵略犯罪にかかわる諸事実について、裁判官は司法の立場から、みずからの良心にしたがって独立した審理をおこなう権利と義務を負う。しかしながら、戸田彰子裁判長は、本訴訟の審理にとって欠かすことのできない歴史的事実の究明の問題をみずからの判断で審理から外した。これは司法の権利と義務の放棄を意味する。
 このような戸田彰子裁判長の態度は、日本政府の不正義な対応に追随しており、歴史的事実を審理しないことによって社会的不正義を追認するものであり、司法権の放棄を意味している。
4).戸田彰子裁判長は、熊野市の民族の相違による不公平な扱いの容認について審理しな
   かった
 熊野市は、「英国人墓地」を文化財に指定し公共性・公益性を認めておきながら、朝鮮人を追悼する碑の敷地については、土地の登記人の名が名義上紀州鉱山の真実を明らかにする会の会員の個人名であることをもって公共性・公益性を認めず、行政の歴史的責任を果たそうとしていない。熊野市のこのような態度は民族差別である。
 戸田彰子裁判長は、「英国人墓地」は熊野市の所有地であることを理由にして、「英国人墓地」の土地が非課税であると主張するのみで、熊野市の所有地であろうとなかろうと、犠牲者の追悼において民族の相違による不公平な扱いをおこなってはならないということについては審理することなく、熊野市の民族差別を容認した。
5).戸田彰子裁判長は、地方税法による公益性による免税、熊野市税条例による特別な事情
   による減免の妥当性を審理しなかった
 熊野市が敷地提供を拒否したためやむをえず紀州鉱山の真実を明らかにする会は複数の会員名義で敷地を購入した。その敷地に、熊野市は課税した。
 地方税法および熊野市市税条例には、公共性にもとづいて免税とする、あるいは減免する規定が定められている。
 この規定にしたがって、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑の敷地にたいし免税することが必要かつ妥当な措置である。
 しかし、戸田彰子裁判長は、核心的な論点である追悼碑の土地の公益性や、土地購入と使用目的における特別な事情について審理しようとしなかった。
 戸田彰子裁判長は、原告(特別抗告人)の言う「特別の事情」を、歴史的・法律的に十分検討するとともに、実際に紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑が建立されている場に行って土地の使用状況を「現場検証」すべきであった。
 しかし、戸田彰子裁判長は、「現場検証」をおこなうどころか、法廷での口頭弁論をも極端な短時間で「終結」させ、「判決」で「原告(特別抗告人)らの訴え」を棄却・却下した。
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