樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

江戸時代の迷鳥

2020年03月12日 | 野鳥
国立国会図書館のウェブサイトでは、貴重な所蔵品を26のテーマに分けて解説した「電子展示会」を設けています。その中に「描かれた動物・植物 江戸時代の博物誌」というコンテンツがあり、「第三章 珍禽奇獣異魚」には、当時日本に迷行して捕獲され、絵として記録された鳥が掲載してあります。なかなか興味深いのでご紹介します。
まず、アホウドリ。



天保3年(1832) 5月、江戸の小石川馬場に落鳥した個体で、幕臣である毛利梅園が131の鳥を描いた『梅園禽譜』の中の1点。
現在は本土でアホウドリが観察できることはないですが、当時は本州や九州に飛来することがあったようです。
次に、ペリカン。



江戸時代、ペリカンは伽藍鳥(ガランチョウ)と呼ばれていたとのこと。この絵には、「文久2年 (1862) 8月に尾張の桜新田海岸で捕獲した」と書かれています。8月は現在の秋ですから、台風で迷行したのでしょう。
描いたのは、尾張の画家・清水淇川(きせん)。ちなみに、ペリカンの日本初記録は永享2年 (1430)で、捕獲されたのは京都伏見とのこと。
そして、すでに絶滅したカンムリツクシガモ。



現在は見られませんが、幕末には飼い鳥屋で売られていたそうです。
この絵は文政5年 (1822) 10月に函館付近で迷鳥として捕獲されたつがいを描いたもので、上が雄、下が雌。水鳥76種が描かれた『水禽譜』の1点ですが、編者や画家は不明です。
このほか、同サイトにはアネハヅル、エトピリカ、レンカク、トキ、シマフクロウなどの絵も掲載されています。
コメント (5)
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