樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

嘘つきは、戦争の始まり。

2019年11月07日 | 野鳥
今回は、世界に衝撃を与えた鳥の写真の話。
湾岸戦争が本格化する前の1991年1月、油まみれの水鳥の写真が世界中に報道されました。イラクが油田の重油を海に流した環境テロの証拠とされ、「サダム・フセイン=極悪人」というイメージと「アメリカの空爆は正当である」という世論が形成されました。
そして、日本は多国籍軍に130億ドル(当時のレートで1兆7000億円)の財政支援を行いました。


1991年1月26日の朝日新聞夕刊の記事

ところが、後になって、この水鳥が油まみれになったのは、米軍がイラクのタンカーと原油貯蔵タンクを爆撃したことが原因であることが明らかになりました。アメリカはイラクに責任転嫁した上に、その写真を利用して自らの侵略行為を正当化したわけです。
この28年前の出来事を取り上げて、出版大手の宝島社が今年の1月7日に、「嘘つきは、戦争の始まり。」というタイトルで以下の新聞広告を掲載しました。



文面は以下のとおり。
「イラクが油田の油を海に流した」その証拠とされ、湾岸戦争本格化のきっかけとなった一枚の写真。しかしその真偽はいまだ定かではない。ポーランド侵攻もトンキン湾事件も、嘘から始まったと言われている。陰謀も隠蔽も暗殺も、つまりは、嘘。そして今、多くの指導者たちが平然と嘘をついている。この負の連鎖はきっと私たちをとんでもない場所へ連れてゆく。今、人類が戦うべき相手は、原発よりウィルスより温暖化より、嘘である。嘘になれるな、嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ。
昨年までさまざまな問題で政府が虚偽や隠蔽を繰り返したことを批判し、そうした嘘の積み重ねが戦争につながると警告しているわけです。
バードウオッチャーとしては「この油まみれのカワウをどうやって撮影したのだろう」と気になりますが、広告の同業者としては「インパクトのある優れた広告作品」と高く評価し、一市民としては世間を忖度することなくこういう意見広告を堂々と掲載した宝島社に拍手を贈ります。
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