樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

バードウオッチングのマナー@英国

2018年04月05日 | 野鳥
野鳥観察にもマナーがあります。それを分かりやすく伝えるため、日本野鳥の会は「やさしいきもち」としてまとめています。
  …野外活動、無理なく楽しく
  …採集は控えて、自然はそのままに
  …静かに、そーっと
  …一本道、道からはずれないで
  …気をつけよう、写真、給餌、人への迷惑
  …持って帰ろう、思い出とゴミ
  …近づかないで、野鳥の巣
これだけでは分かりにくいので、例えば最後の項目について以下のような解説を加えています。
「子育ての季節、親鳥は特に神経質になるものが多く、危険を感じたり、巣のまわりの様子が変化すると、巣を捨ててしまうことがあります。特に、巣の近くでの撮影はヒナを死にいたらしめることもあるので、野鳥の習性を熟知していない場合は避けましょう。また、巣立ったばかりのヒナは迷子のように見えますが、親鳥が潜んでいることが多いので、間違えて拾ってこないようにしましょう」。
こういうマナーは外国ではどうなっているのだろうと思って、バードウオッチング発祥の地イギリスの例を調べてみました。有名なRSPB(王立野鳥保護協会)のサイトを見ると、「The birdwatchers’ code」(バードウオッチャーの規則)というページあります。



以下、私の適当な意訳でご紹介しますが、最初に「イギリスでは毎年約300万人がバードウオッチングを楽しんでいます。この規則は鳥に興味を持っているかどうかに関わらず、鳥の権利を最優先し、他の人々に配慮することを定めています」という前書きがあります。300万人という数に圧倒されますが、その次に「覚えておくべき5つのこと」という画面があって、以下のように書いてあります。
①鳥やその生息地を脅かさないでください。鳥の権利を最優先すべきです。
②バードウオッチングの大使になってください。
③探鳥地を訪れる際の法律とルールを理解し、それに従ってください。
④目撃情報を野鳥記録機関に送ってください。
⑤珍鳥情報を広める前に、野生生物や地元の人々のことを考えてください。特に繁殖期は注意してください。



②の「大使になれ」という項目には以下の説明があります。
「自分が野鳥観察を楽しむだけでなく、他の人も楽しむようにしましょう。例えば、関心を持った通行人から質問されたら丁寧に答えてください。彼らはバードウオッチャーではないかもしれませんが、鳥の姿を見たり有益な答えを聞けば、野鳥に興味を持ってくれるかもしれません。あなたの熱意が、一般の人々の鳥に対する関心を高め、野生生物の保護運動を拡大します」。つまり、仲間を増やそうと呼びかけているのです。
さらに、「パブやレストラン、ガソリンスタンド、公共交通機関など地元のサービスを利用してください。地域社会に利益を還元することが最終的には鳥を守ることになります」とまで書いています。
日本のマナーにはここまでのことは書いてありません。④の観察記録を報告するという項目もありません。さずが、バードウオッチング発祥の国!と感心しました。

RSPBの「The birdwatchers’ code」はこちら
コメント (2)
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