2016/03/29 記
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「被災地・神戸に生きる人々/牧秀一・著」を、拡大読書機の読み上げ機能を使って読み上げた。7(または9)月懇話会ゲスト予定者の古い著書(2001年刊)だ。阪神淡路大震災から6年目の著書で、東日本大震災6年目の現在より、一歩進行した現場のルポだ。神戸が都会であったことで、復興の速度の時差が出ている。
ここには被災高齢者のルポは出てくるが、被災障がい者の情報は身体障がい者の伝聞情報が僅かに出てくるだけだ。被災者の高層復興住宅の生活が始まると同時に、特に被災高齢者の孤立が始まってしまう。高層独立型のアパート構造が、近所付き合いを疎外してしまうのだ。
岩波ブックレットの薄い著書だが、生身の優れたルポが綴られている。箱物町づくりシステム先行の行政が、入居後の被災者の生活と乖離した施策を繰り返し、家族と仕事・財産を失った家族は、被災者ゆえに企業の採用拒否に会い、再出発が不可能な高齢者は紋切り型の生活保護によって、強制された余生の孤立感を深めて行く。なにげない深刻さというのだろうか、金銭的にも身動きがとれなくなっていくのがリアルだ。
古い本なので、懇話会の参考資料として使おうと調べているが、冊数が集まらない。元祖岩波書店も電話問い合わせではなく、HPの検索が、廃刊書を弾いてしまうために、在庫確認が出来ない壁に化けてしまう。AMAZONだと古書が出てきてしまうので、紀伊国屋書店に10冊依頼前の在庫確認を頼んでおいた。5千円はかかる。講師料・交通費を合わせると辛いものがある。
被災障がい者とケア・ボランティアの言及がないことを除けば、被災6年、忘れられた被災生活(中には『被災助成金長者』という、実情知らずのひどい差別言辞も出る時期だ。)の孤立感が迫る。やはり資料として配布したい。充分に現在の書として通じる内容だからだ。
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「震災と市民 2支援とケア」を借りた。東日本大震災ボラでは、足湯傾聴ボラを推進している似田貝 香門さんたちの著作だ。県立図書館に全2巻、両方ともある。今日、送られてきたので、面白ければ後日紹介する。
NHKがハートネットTVで、美容師さんが女性被災者のヘアメイク&雑談傾聴サービスをしたり、地元高校生に協力してもらい、ヘア。コンテストを催して、地域を明るくしている話が紹介された。しかしここでも、障がい者は影も形もない。恐ろしいほどに無関心、指摘すれば差別が浮き上がる。拍手したくとも、背筋から冷えていくのだ。
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(校正1回目済み)