日々のことを徒然に

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槍倒し松の今

2018年02月10日 | しっちょる岩国

 国の名勝・錦帯橋の横山側にある大きな1本の松の木、これは「槍倒し松(やりこかしまつ)」と呼ぶ。この松は、岩国藩士の負けず嫌いを表徴する松として名を知られている。諸国の大名が他藩の城下を通るときは行列の槍を倒すのが礼儀となっていた。だが、大藩が小藩の城下を通るときその儀礼を守らず威風堂々と通ったという。六万石の小藩であるためこれを見て憤慨したのが岩国藩士だった。

 そこで、かなり成長し横枝のはった松の木をわざと植え、大藩といえども、どうしても槍を倒さなければ通ることが出来ないようにした。80年余り前の河川改修工事により、道路や人家は堤防の上に移ったが元は川辺にあった。今の石段が坂道になっていたため、大名が槍を倒して坂を登るのを見て岩国藩士たちは留飲を下げた。

 藩士の留飲を下げさせ気持ちをスッキリさせた松も1944(昭和19)年ころに発生した松喰虫によって1952(昭和27)年8月に残念ながら枯れた。現在の松は、初代の松の実から自生した直系の松を1968(昭和43)年2月15日に吉香公園から3代目として移された。移されてからあと数日で満50年になる。移植直後は先代と比べ幼なく思えたが半世紀たちその威厳を引き継いでいると感じる。

 先日、威風堂々と感じさせるその松が人でいう散髪をしてもらっていた。錦川からの寒風を受けながらの庭師の仕事は寒いだろうと思うが、そんなそぶりは見えない。錦帯橋上から写真を撮っていると「寒いでしょうなあ」と観光客のひとりもカメラを向けた。50歳をむかえる準備だろうか、錦帯橋の袂で訪れる人を迎えながら何を思っているだろう。100年、200年と永らえて欲しい。
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