
フェスタで賑わう名勝・錦帯橋界隈は大勢の人出、色づき始めた公園が賑わいを喜んでいる。フェスタの一角からボツボツボツという懐かしい音が聞こえる。子どものころ、近くの農家の庭や田圃から聞こえた発動機の単調だが規則正しく作動する音、日本農業の原風景の一つかもしれない。
「岩国発動機保存会」の皆さんが数台の発動機を展示作動させている。聞くと、県内各地に同好の士がグループを結成し各地のイベントに展示されるが、当市では初の展示という。放置され雨に打たれた発動機があると聞けば軽トラで山坂超えて駆けつけるという。持ち帰り手入れ、必要な部品は手作りもするという「好きな連中」、駆動したときの喜びは何物にも代えがたいと笑う人らは高齢者仲間。
展示品は昭和20年代初めからの機種で、それぞれの詳細な説明が添えられている。農家用に使われたものというが2から3馬力ほど。発動機のプーリーにベルトを掛け脱穀機を回す様子は人手をはるかにしのいだ。油臭を漂わせ白い煙を出しながらピストンに合わせ揺れていたのを思い出す。
農機具は進歩する。脱穀機が発動機を体内に取り込み、コンバインにまで進化し農家の原風景はなくなった。発動機を使って石臼を回す人造婦人に多くの人が見入っていた。現代風イベントの一角で、忘れてはいけない日本の食を作ってきた一時代の姿を忍ばせる、出展にこぎつけた保存会の皆さんに努力に感謝する。(展示の様子は後日FBにアップ)