日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

ヤカン

2016年05月06日 | 回想

 GWのある日。ベンチに腰掛けた数人ずれのおじさん方が2L入りペット飲料を飲んでいる。その飲み方、頭を後ろに倒し口を開け、ボトルから飲料を流し込む、ボトルに自分の口を触れないでゴクンゴクンと上手く呑み込む。次の人も同じように飲む。その慣れた飲み方は誰も口から漏らすこともなく続く。それを見て子どものころ眺めた工事現場の光景を思い出した。

 谷川の護岸工事現場。といっても切り石を石工がハンマーで形を整え石垣を積んでいた時代のころ。形の整った石をチェンブロで吊り上げる人、石を運ぶ人、砂と砂利とセメントを合わせ練る人、積んだ石の裏側を養生する人など多くの人が働いている。そんな仕事場を眺めるのも遊びの一つだった。休み時間、空を見上げ口を開け大きなヤカンからお茶を流し込んで飲む。ヤカンの注ぎ口に飲む人が口をつけないのは、回し飲みするからだと石工に教わった。今、思えば働く仲間への心遣いに驚く。ヤカンは頭より大きな黄土色だった。

 今は重機に生コン車の現場ではそれぞれが持参する好みのボトル飲料で休み時間を過ごす。ツルハシにシャベル、もっことねこ車にチェンブロの時代の工事現場では、たき火で沸かしたお茶を、相棒への気遣いをしながら皆で飲む。そのことが、大勢が働く現場の事故予防に役立っていたのだろう。

 ヤカン、お茶や水を沸かし薬を煎じたり、古くから使われる。現代風にアレンジされ多彩な彩色を施したヤカン類が並ぶ。しかし、日本の伝統的なヤカンは丸形で、その本体に付いている注ぎ口と取っ手、それは昔と変わらない。電気式のそれも円筒系に注ぎ口と取っ手がついている。時は移ってもヤカンが重宝される姿は続きそうだ。
コメント
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