ガン切除のため手術室に入る。麻酔をかける「チック」とした針の痛みを感じたことは記憶している。べッドのまわりの顔が次第にはっきりし、手術を心配して駆け付けてくれた人と判る。病室の壁に掛けてある時計が午後3時過ぎを指しているからおよそ6時間あまり麻酔の世界にいたことになる、そう気づいて、生還し意識のあることを喜んだ。
それから3年半、術後検診を受診する。3年経過までは3カ月ごとの受診だったがそれを過ぎるとインターバルが6カ月になった。血液検査にCT,内視鏡検査など経過に応じて受診内容がかわるが、これまでも今日も転移をはじめとする異常などはなく過ぎた。これからもこのまま推移してほしい。
ガンは発見が早ければ助かる確率は年々高くなっている。最初にガンと診断してくれたのは家庭医だった。家庭医は「これほど早期発見は初めて」と話してくれた。自覚する症状はなにもなかった。発見は数年続けている便潜血検査でマイナスの値が出たことがきっかけだった。マイナスを受けて潜血の再検査や内科的検査を得た後に大腸ガンと判明した。
地域の核になる医療期間で、医師の薦めるままの手順で手術を受ける。担当医の素人にも理解できる説明を信頼してのことだった。同病の同期もいるが、無投薬を話すと驚いている。同期の彼が病院に駆け付けたのは出血に気づいた日という。3年半の検診を終え、改めて早期発見の重要さを思った。