花(桜)の命は短い、咲き始めから満開までが1週間あまり、8分咲になると満開と呼ぶ。そのころには、初めに咲いた花びらは散り始める。今年の花見はあいにくの天候で花に感嘆する日和の少ないまま葉桜に変わった。自然は人の願望を知ってか知らずか音もなく過ぎていく。
桜に続いて桜は桜でも芝桜が見ごろ、と案内のメールが届いた。春は桜と菜の花と芝桜、夏は蛍と河鹿の里として近郊では知られるようになった山間の里でピンクや白の芝桜が来る人をまっている。写真で見ると今までとは植栽方法が変わったのか、少し興味をそそる。
通りがかりにふと見上げた桜の木、茂った若々しい葉に隠れるように白い桜が咲いている。少し目覚めの遅かった一輪だが色が白いということは咲いて間もないということになる。葉の緑と花の白と自然の作り上げたコラボは清々しい。根本に散った無数の赤みがかったがくも彩を添える。
一足遅れて咲いた桜、それも一輪では見てくれる人はほとんどいないだろう。それは大方の人が桜は来年と決め込んでいる。それでも花の生命を全うした小さな花に、よく頑張った、とエールをおくる。遅れても遅咲きでもいい花になり実になるような一生にしたい、白い花を見上げながら秘かに思う。