「くそ暑いのう」、猛烈な暑さのときに男同士の親しい仲での挨拶で使う。全国の電気使用量を気にしながらエアコンのスイッチを入れる、気持ちいい。図書館や公民館など公共施設で冷をとることも勧められている。省エネの策としてはいいかもしれないが、何もしないでいるのはつらいだろうと思う。
図書館の閲覧室はほぼ満席、でも、ここは黙読の場で会話をする人はいない。そんな中、安楽式の椅子で膝に新聞を置き目をつむっている男性、沈思黙考でなく安眠状態、見ていて気持ちよさそう。そばで新聞の頁変えする音もそっと潜む様な仕草になる。この人の避暑のための秘所はここなのかもしれない、お茶でも出れば申し分ないだろうが。
その図書館のある施設は公民館と市の出張所があり、駐車場はいつも混雑している。駐車場の端に1本の木がある。それを除けば1台分のスペースが出来る、そう思ったこともある。その木は傘のように剪定されている。今日はその下で、日傘をたたんで2人の女性が、暑さを忘れたかのように話し込んでいる。木陰でなく樹陰、と言えば高尚な話にも聞こえる。立ち話には最適な場所かと見て通る。
道を隔てた小学校の運動場は陽射しで白く光っていて、子どもらの姿はない。運動場を取り巻く木の周りでは虫捕り網を持った子どもが数人樹上を指さしながら大きな声を出している。そんな子供らのそばに水筒がまとめて置いてある。熱中症対策を心得ている。降り注ぐ蝉の声も「暑い暑い」と聞こえる。