錦帯橋の下を流れる錦川で数人の釣り人、しばらく橋上から眺めていたが釣り上げた様子に出会えなかった。鮎釣り解禁から10日あまり、成育状況や釣果はどんな様子なのかまだ情報に接していない。黙して棹をさす姿は、釣りをしない者の目にはなんだか「ぼつねん」として見える。しかし、水中で心理戦のあることを鮎釣りのTV番組で知った。
棹を左右にあるいは上下に動かし糸を操る。それは糸の先端の囮にした鮎が川の流れの中でいかに自然の姿で生きているかを演じさせるという。演じさせるのは鮎を釣るためだが、画面に図示される囮の動きを方の説明がまるで鮎が話ているように聞こえる。その釣り人の釣果は55匹、解禁直後としては満足したという。説明では縄張りを持たない群れ鮎を狙ったという。
鮎は友釣り、やったことはないが言葉だけは耳学問で知っている。縄張りを持つ鮎の群れに入ってきた囮の鮎を追い払う、その行動の中で別に仕掛けてある針に引っ掛けるという。その追い払う習性を発見しただけでなく、そこから鮎を引っ掛ける漁法を考える、いつ頃から始まった釣り方だろう。
秋になると学校の帰り橋の欄干にもたれかかり、投網での鮎獲りを眺めていた。川舟の上で体を回転させながら網が投げあげられる、円形に空を切った網はしぶきを上げて川面に落ち、沈んでいく。網が着水すりと舟上から石を網の外側に投げる。驚いた鮎は網の中へ追い込まれる、これが一網打尽。こんな道草、今もあるのだろうか。