使徒の働き 14章19−28節
この箇所には、パウロの第1回伝道旅行の帰路が記されています。ルステラで彼は反対者とたきつけられた群衆に襲われて石打ちにされます。「死んだものと思って」とありますから、相当な痛手を負ったものと考えられます。
ところが彼は、起き上がると再び町に入って行き、そこから今回の伝道旅行の最も先端にあるデルベに向かいました。デルベでも福音を伝え多くの人々を弟子としてから、彼らはどのようにしてアンテオケに戻って行ったのでしょうか。地図で確認していただくと、デルベから東進するとシリヤのアンテオケに着くのですが、一行は、第一伝道旅行で訪ねた町々、いや新しく誕生したキリストの弟子たちを再び訪ねてアンテオケに引き返しています。
ここに、パウロたちの働きがキリストの福音を伝えるだけではなくて、新しい信者たちを励まし支えるということにまで及んでいたということがわかります。この旅行で誕生した新しい弟子の中には、パウロやバルナバが福音の宣教者としていたい目にあったのを目撃した人々も少なくなかったでしょう。彼らは「私たちが神の国に入るには、多くの苦しみを経なければならない」ということばを、パウロのことばだけではなくて、姿を通して学んだのです。
「引き返して…」ということばを心に留めました。心残りでありながら引き返さずにしてしまうようなことがたくさんあるとの気づきを与えられることばです。