詩篇 57篇
デスクワークが長く続くと、いつの間にか身体が前屈みになってきます。部屋にいて天井を見上げるということがほとんどないことに気づくのです。夕方近くの公園へ…。エビのように仰向けになることのできるアスレチックがあり、しばらく空を見上げていました。
ダビデはこの時、エン・ゲディという場所の洞窟に身を潜めていました。エン・ゲディは死海東岸にあり、流れ落ちる滝があるオアシスのような場所。サムエル記第一24章1節のサウルへの報告には、「ダビデが今、エン・ゲディの荒野にいます」とあります。「サウルは三千人の精鋭を選り抜いて」と聖書は続けていますので、「私のたましいは 獅子たちの間で 人の子らを貪り食らう者の間で 横たわっています」とのダビデのことばからは、行き詰まってしまったとの思いも伝わってきます。洞窟から出たら、敵が待ち構えているのです。
そのような事情の中で、「神は 恵みとまことを送ってくださいます」と、神に助けを求めています。本篇の1−6節と7節以降とでは全く雰囲気が異なるので、もとは二つの歌ではなかったかと考える向きもありますが、そうではありません。どのような中にあっても天を見上げる者の確信が伝わってきます。
「私は暁を呼び覚まそう」ということばにも目が留まります。夜明けが人を目覚めさせるのですが、ここではダビデの神への賛美が、自分のたましいを呼び覚まし、ほめたたるるために用いる楽器を呼び覚まし、さらには暁さえも呼び覚まそうというのです。ひっそりと洞窟の奥に潜む中で、ダビデの心の中では神への力いっぱいの賛美が鳴り響いているのです。