歴代誌第二 18章12—34節
南王国ユダの王ヨシャパテを誘い込んで、ラモテ・ギルアデでの戦いに臨んだ北王国イスラエルのアハブ王。ラモテ・ギルアデはヨルダン川東岸の北部にあって、ここは北のアラムとの係争地でした。思い出せば、ヨシャパテの父アサが神に拠り頼んでいれば、あの時アラムは力を失ったはずですので、何とも皮肉なことです。
アハブには、アラムを何とかして痛めつけようとの魂胆に加えて、誘い込んだヨシャパテを殺して、あわよくば南王国ユダも自分のもとに置こうと企んでいたことがわかります。しかし、そのようにアハブが考えるのもまた、主による惑わしだったということが、アハブから見たら偏屈な預言者ミカヤによって明らかになります。
何度読んでも、28—29節は不思議に思います。アハブはヨシャパテに「私は変装して戦いに行こう。でも、あなたは、自分の王服を着ていてください」と言うのです。ちょっと考えれば、アハブが何を企んでいるのかはわかりそうなものです。ところがヨシャパテはアハブのとおりに王服を着て戦場に出ます。アハブの言うとおりに行動するヨシャパテ王の人の良さのようなものを感じてしまう箇所です。
アハブに誘いに乗るという大きな過ちを犯したヨシャパテでしたが、「御用預言者」ばかりなのかと問いただし、ついにはミカヤを表舞台に出すなどということは、ヨシャパテが主のことばを常に聞いていたからだと考えられます。
結局、変装していたアハブに何気なく放った矢は当たり、王服を着て敵の目印のようになっていたヨシャパテはいのちを保つのです。主がお守りになるとはこのようなことなのだ、と改めて覚えます。