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高橋源一郎『今夜はひとりぼっちかい? 日本文学盛衰史 戦後文学篇』

2018年11月27日 12時11分38秒 | 文学
高橋源一郎『今夜はひとりぼっちかい? 日本文学盛衰史 戦後文学篇』(講談社)を図書館で借りて読んだ。
小林秀雄と大岡昇平がツイッターでやり取りするところを本屋で立ち読みし、「おもしろそう」と思い買おうかと思ったが「ちょっと待て」と思い図書館で借りた。「ちょっと待て」と思ったのは高橋源一郎の小説には失望することが多いからだ。
今回の小説はすらすら読めて、たいへんおもしろかった。
でもこれがいわゆる小説かというと疑問で、「いわゆる小説かというと疑問」なものも小説だと言えばそうなのだが、その時々で高橋源一郎が興味のあることをつらつら書いているように見える。一貫したお話のようなものはない。
小林秀雄と大岡昇平のツイッターのやりとりもちょっと出てくるだけで、そのあと何か出てくるというわけではない。
この小説に出てきたことをまとめると、

『全身小説家』という井上光晴のドキュメンタリー映画(原一男監督)を学生と見て、学生が戦後文学者の名前を知らないということ。
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その学生のラップでの独白。タイトルは「ラップで歌え、サルトル!」。(『裏声で歌へ君が代』から?)
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内田裕也のこと。
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武田泰淳という人のこと。
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ツイッターでのつぶやき。小林秀雄や大岡昇平らのほかに平野啓一郎や島田雅彦などが登場。石坂洋次郎についてのツイートもあり。
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小熊英二のこと。再び武田泰淳のこと。
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本が売れないこと。
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中森昭夫の『アナーキー・イン・ザ・JP』のこと。
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映画『SR サイタマノラッパー』のこと。
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石坂洋次郎の『光る海』と『青い山脈』を読んだこと。
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宮崎駿に会ったこと。
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東日本大震災に遭ったこと。(もっとも感動的。とくに卒業する学生への挨拶。)
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エピローグは昔の高橋源一郎の小説的なものをやりたかったのか。ちょっと『1Q84』のようにも読める。いちばん意味が分からない。

という感じだった。
お好きな方はどうぞ、という感じで、いわゆる普通の小説を期待している人には向かない。しかしそんなひとは高橋源一郎の小説は読まないのかもしれない。
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