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司馬遼太郎『世に棲む日日(二)』、読みたい本はすべて品切れ

2010年07月20日 20時48分16秒 | 文学
司馬遼太郎『世に棲む日日(二)』(文春文庫)を読んだ。
吉田松陰が死んで、主人公は高杉晋作に変わる。全四巻の本で、ちょうど真ん中の二巻の終わりに主人公が変わるわけでもなく、吉田松陰が劇的に死ぬわけでもなく、そもそも一冊の小説で主人公が変わるのが珍しい。このあたりの、司馬遼太郎の文学らしくないところ、全体の構成をまるで考えていない(ように見せている)ところ、行き当たりばったりに話を進めているようなところ、が実は良いところだ。
疲れない。
あなたがいい加減なのだから、こっちもいい加減に読みます、といった気分になれる。

村上春樹のインタビューを読み、丸谷才一の文学史に江藤淳と吉本隆明のいないことを発見し、筒井康隆の『文学部唯野教授』を久しぶりに読み返し、そんなこんなをしているうちに、いわゆる「遊びの文学」についてもっと真剣に考えるべきなのではないかと思い始めている。
人生について真剣に悩んでそれを書いたものが文学で、それ以外のものはフォニイであるという江藤淳的な考えも確かに正しいのかもしれないが、ただ単に物語を楽しんでそれで終わりっていうのも本を読む楽しみではあると思う。
人生に悩んで思いを吐露することって大人には出来ないことでもあるし。
そういうことを思って丸谷才一の小説を読んでみようかと思い、『裏声で歌へ君が代』を読んでみようかと思ったら、なんと品切れになっていた。いつのまに。
丸谷才一のどの本が絶版になろうが、『裏声で歌へ君が代』だけは消えなかったのに。やはり読みたくなくても気になる本は買っておくべきだ。
ないとなると読みたくなってくるので、『裏声で歌へ君が代』批判の載っている、江藤淳の『自由と禁忌』や蓮實重彦の『小説から遠く離れて』を読んで、読む気をなくそうかと思ったがどれも絶版だ。
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2 コメント

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Unknown (わど)
2010-07-21 08:52:50
本はすぐ絶版になりますよね。こちらも、あのとき買っときゃよかったなと思うことたびたび。書架に並べておくだけでは日焼けするだろうし、次々と出版されるものにはスペースが要るだろうし、たとえ大型書店でも返品の誘惑には勝てなのので、出版社も絶版を決定するのでしょうか。
しかし、こうなると、電子書籍化の有効性は認知されだすことでしょう。いわゆる物理的な保管用の空間は、たんなる何テラバイトだかの電子的容量に置き換わります。
「だってホラ、本は紙で読みたいじゃん」
なんて意見が反社会的だと批判される時代は、すぐそこに(笑)。
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絶版 ()
2010-07-21 23:32:30
絶版となると、そこまで欲しいとも思ってなかったのに欲しくなりますよね。
復刊を待っている本が何冊かあります。
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