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村上春樹『騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編』

2023年07月17日 23時53分01秒 | 文学

村上春樹『騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編』(新潮文庫)上・下を読了。
読み終わってみれば、何も解決していないし、何も終わっていないし、結局なにか事件があった? ということにはなってしまうのだが、読んでいる間はおもしろい。顔ながの穴に入って雑木林の中の穴に出てくるまでのよくわからない黄泉の世界みたいなところが少し退屈したが、全体としてはおもしろかった。
もうそれだけで充分。村上春樹にあまりに多くを求めすぎてはいけないのだ。(揶揄でも皮肉でもなくそう思う。)
免色渉という人物が興味深くて、それをずっと追っていくうちに読み終わってしまうという感じでしょうか。

以下、蛇足ながら疑問。
秋川まりえの失踪事件なんか事件でもなんでもないし、免色に一言「ごめんなさい」と言えばすべて解決するように思うが、本当に騎士団長が死ななければいけなかったほどの事件だったんだろうか。騎士団長は、最初は現実の出来事に関与しないというような態度だったのに、結局はすべて自分一人で事態を回しているように思う。
雨田具彦の傑作「騎士団長殺し」は火事で失われるが、語り手のせいだ。言い訳は通用しない。
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