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村上春樹『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』

2023年07月15日 01時00分34秒 | 文学

友人が読んでいるという話を聞き、興味を惹かれ村上春樹『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』(新潮文庫)上・下を再読。
何が行われているのか、何をどうしたいのか、相変わらずさっぱりわからないがとにかくおもしろい。
語り手が画家で、絵を描くことの思想のようなものを語るのだがそれが、村上春樹自身の文章を書くことの思想のように読めて私などには興味深い。
例えば以下のようなところ。

《肖像画をモチーフにした、新しいオリジナルのスタイルを自分は掴みつつあるかもしれない。それは肖像画として描き始められるが、結果的には肖像画とはまったく違ったものになってしまう。にもかかわらず、それは本質的にはポートレイトなのだ。》(下巻107頁)

また、

《寓意や比喩は言葉で説明されるべきものではない。呑み込まれるべきものだ》(下巻259頁)

のようなところ。
それから性描写も多いが、そこも可笑しい。

《僕が耐えきれずに射精をすると、それに合わせて彼女は異国の鳥のような声を短く上げ、》(上巻274頁)

《彼女は全部で四度オーガズムを迎えた。信じてもらえないかもしれないが、どれも間違いなく本物だった。》(下巻89頁)

《「それで今はどうなの?」
「今、自分のおちんちんについてどう思うかってこと?」》(下巻303頁)

とても可笑しかった。
あえて話を無理に作らずに、自分の中から出てくるものだけでゆったりと書いている感じで、とってもおもしろい。
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