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中畑正志『はじめてのプラトン 批判と変革の哲学』

2023年01月20日 23時39分37秒 | 文学
中畑正志『はじめてのプラトン 批判と変革の哲学』(講談社現代新書)を図書館で借りて読んだ。
これのどこが「はじめての」なのだろうか。ひどいと思った。想像力がない。
「はじめてのプラトン」と言われたら、初めてプラトンを読むくらいの、まあ『ソクラテスの弁明』か『プロタゴラス』かなんかを読んで少し興味を持ったくらいの読者を私は想像するが、この本はどのくらいの読者を想定しているのだろうか。自分のゼミ生だろうか。ちょっと腹が立つほどの本だった。
最初の、プラトンの本に登場するソクラテスと対話する人たちは当時の人々には馴染みのある人達で、
《二○二一年の時点で森喜朗や小泉純一郎、西部邁、麻原彰晃といった面々が実名で登場してやりとりすることを想像してほしい》(33頁)
のあたりはたいへん興味深かった。プラトンの本は小林よしのりの『ゴーマニズム宣言』みたいな本だったんだなと思った。
しかしだんだん難しくなり、半分くらいから読む気が失せる。『国家』の話も初めての人には読めないと思うが、最後の「第八章 プラトン、その後に」は特にひどい。誰に向けて書いているのだろうか。はじめてのひとに対して書くことがなくなったんならもうそこでやめて、薄い本にして、はじめての読者がとっつきやすいようにしたほうがいい。
こういうふうにして哲学に興味を持った人を打ちのめして、どういう未来があるのだろうか。
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