日野啓三の「向う側」(河出書房新社『日本文学全集21』所収)を読んだ。
日野啓三を読むのは初めて。これまで大岡昇平の日記などで名前を目にすることはあったが、書店で本を目にすることはないので読んだことがなかった。いまとなっては「忘れられた作家」という感じだろう。
「向う側」はベトナムと思われる場所が舞台で、失踪した男を探している男が最後は自分も「向う側」に行ってしまうという話なのだと思う。調査をし、それを会話文で報告するという書き方でちょっと格好いいが、何をしているのかあまり明確にはわからない。「向う側」というのが戦争している敵側という意味と、異界または死後の世界というような意味に掛けられているのだと思う。
池澤夏樹個人編集の『日本文学全集』には安部公房が単独では選ばれてないのだが、日野啓三はその代わりなのかもしれないなと思った。
そういう、思わせぶりな話であった。もう読まないと思う。
日野啓三を読むのは初めて。これまで大岡昇平の日記などで名前を目にすることはあったが、書店で本を目にすることはないので読んだことがなかった。いまとなっては「忘れられた作家」という感じだろう。
「向う側」はベトナムと思われる場所が舞台で、失踪した男を探している男が最後は自分も「向う側」に行ってしまうという話なのだと思う。調査をし、それを会話文で報告するという書き方でちょっと格好いいが、何をしているのかあまり明確にはわからない。「向う側」というのが戦争している敵側という意味と、異界または死後の世界というような意味に掛けられているのだと思う。
池澤夏樹個人編集の『日本文学全集』には安部公房が単独では選ばれてないのだが、日野啓三はその代わりなのかもしれないなと思った。
そういう、思わせぶりな話であった。もう読まないと思う。