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堀江敏幸『河岸忘日抄』

2021年05月11日 19時42分11秒 | 文学
堀江敏幸『河岸忘日抄』(新潮文庫)を読んだ。
読んでいられるので読むが、もうちょっとガツンと来るものがないかなと思わないわけではない。
一時期の大江健三郎の小説を吉本隆明は本を読むだけの小説と言って批判していたように記憶するが、堀江敏幸のことを吉本隆明はどう言うだろうかと思う。主人公はただただ本を読む。
私もこの小説に登場する、ブッツァーティ「コロンブレ」(光文社古典新訳文庫『神を見た犬』所収)とチェーホフ「すぐり」(岩波文庫『ともしび・谷間 他七篇』所収)を買って読んだ。ブッツァーティの「コロンブレ」は小説のなかでは「K」というタイトルで出てくる。チェーホフの「かき」も青空文庫で読んだ。
ブッツァーティはこの小説を読まなければ興味を持たなかっただろうから、読んで良かった。
ただ本を読むだけの小説というのもいいものだなと思う。
アレックス・ヘイリーの『ルーツ』、クロフツの『樽』、ベティ・マクドナルドの『卵と私』は興味が持てなかった。

小説に登場する「ヌテラ」というものを知らなかったのだが、これも近所のスーパーで買って来てパンに塗って食べてみた。おいしかった。
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