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井上靖『石濤』

2021年05月02日 00時07分36秒 | 文学
井上靖の『石濤』に収録されている短篇小説を単行本が手に入りづらいので『井上靖全集 第七巻』(新潮社)を図書館で借りて読んだ。
単行本に収録されているものをすべて読もうかと思ったが、あまりおもしろそうではないものもあったので二つだけ読んだ。

「石濤」
石濤というのは清の時代の画家ということで、その絵を語り手の知らないうちに家に置いて帰った人がいて、約束の日になっても取りにこないという話だった。少し前に「墓地とえび芋」という短篇を読んだが、田黄という石でできたハンコを買いに行ったら骨董屋が死んでいたという話だったが、こちらは置いて帰ったあとに死んでしまったのではないか? と語り手が思う話だった。想像のなかで死者と会話をするというのは『星と祭』にも登場した手法だ。
アレルギーが出て、石濤が家からなくなるのと同じようにアレルギーも消える。

「生きる」
がんが見つかり入院し食道を取る。
そのあと『孔子』の連載の仕事をする。
ちょっと異界体験のような話にしようとしている努力が見られるがあまりおもしろくない。
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