ダブログ宣言!

ひとりでするのがブログなら、
ふたりでするのがダブログ。

遠藤周作・佐藤泰正『人生の同伴者』

2016年03月28日 23時52分22秒 | 文学
遠藤周作・佐藤泰正『人生の同伴者』(講談社文芸文庫)を読んだ。
遠藤周作の作品について遠藤周作自身が佐藤泰正に語るというもの。

佐藤泰正が夏目漱石、芥川龍之介、堀辰雄の系譜に遠藤周作を置いていて、夏目漱石から遠藤周作が僕のなかでは全くつながらなくて戸惑った。遠藤周作はそんなにすごい作家なのだろうか。そして堀辰雄もそんなにすごい作家なのだろうか。
芥川龍之介の『歯車』を僕は読んだことがないのだが、興味を惹かれた。
《しかし、たとえばメリメを読んでも、最後は神の問題が出てくる。アナトール・フランスを読んでも、最後は神の問題が出てくる。そこから自分は弾き出される。弾き出されておれの場所はどこかというと、もう自分はいつかこの日本的な精神風土というもののなかで、どこにも居場所のない、一種の根無し草になってしまった。》(47頁)
佐藤の発言だが、そのような思いを芥川が持っていたというのなら読んでみたいと思う。芥川龍之介は高校生のとき以来まともに読んでいない。
堀辰雄は『菜穂子』を読む予定。こちらは遠藤の発言。
《極端な言い方をするなら、彼が下敷きにした『テレーズ・デスケルー』と『菜穂子』とを比較することで、いわゆるキリスト教の本格的な作家と、キリスト教でない日本人の作家が同じテーマを取り上げると、このようにうすっぺらに変容もしくは屈折するんだということを知ることができればよかった。》(94頁)

遠藤作品の戸田について、
《自分のなかでピンチになる、追い込んでいくような、それは偽悪でも疑いでも負の部分でもいいですが、そういうような危険な存在にはどうしてか戸田とつけちゃいますね。》(165頁)
と語っていて以降気をつけようと思う。

遠藤周作ではなにが代表作かがよくわかる本だった。
『侍』と『死海のほとり』と『沈黙』は今後読む予定。『スキャンダル』は手に入りにくいし読む必要もないかもしれない。遠藤周作の描く〈悪〉というものにあまり興味を抱けない。私小説風に書いたという導入部には興味があるが、それだけ。
コメント