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塩田明彦『映画術 その演出はなぜ心をつかむのか』

2016年02月27日 22時48分53秒 | 文学
塩田明彦『映画術 その演出はなぜ心をつかむのか』(イースト・プレス)を図書館で借りて読んだ。
このひとは映画監督らしい。
ところで、先週と今週のNHKの「岩井俊二のMOVIEラボ」はとてもおもしろかった。ゲストが是枝裕和であることもよかった。やはり興味のある監督の話を聞きたい。今週の放送を見て、岩井俊二が絶賛していた『太陽がいっぱい』を見ないといけないと思った。(岩井俊二はNHKで放送する映画の解説を放送前にしたら良いのではないかと思う。そうすれば毎日見てしまう。)
先週の話では、題材の映画は『ビフォア・サンセット』だったと思うが、ひとを動かして観客や出演者の視線を変えて行くという話をしていた。とても興味深かった。そのように考えて映画を作っているのだなと思った。
そしてそのように映画監督はひとの作品を見るのだなと思った。
塩田明彦の本でも「動線」の話があって、登場人物がどういう場所でどこまで動いてどこで止まって後戻りするかということで、何かを表すという話で、興味深く、成瀬巳喜男の『乱れる』が見たくなった。
「顔」の話にヒッチコックの『サイコ』が取り上げられ、ついこの前見たばかりなのでおもしろかった。
そのあとはあまり興味を惹かれなかったが、『男はつらいよ』で寅次郎は周りの人の感情とずれているのだ、という指摘があり、重要だなと思った。蓮實重彦がどこかで、ドラマの山場と登場人物の感情の山場が一致しているのがつまらないテレビドラマだ、というような発言をしていたことがあり、それを思い出した。

が、結局プロの映画監督の見方で映画を見ることがほんとうにいいことなのかどうかがどうしても疑問として残る。
そのように見ることで上手に語ることができるようになるかもしれないが、上手に語ることが出来る映画とおもしろい映画というのは違う気がする。しかも素人が何のために。
素人はおもしろい、おもしろくない、と勝手なことを言っていればいい、という小林秀雄の発言を思い出す。
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