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フランクル『夜と霧 新版』

2012年08月17日 22時21分33秒 | 文学
NHKの番組「100分 de 名著」で取り上げられているのを見て、以前から読もうと思いつつ読んでいなかった、ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧 新版』(みすず書房)を読んだ。
収容所生活のような、未来の見えない生活では目的をもって生きることができない。そのような生活は非本来的なものだと思って心を閉ざして生きているような人間に成長は望めない。というようなことを語っているところがあり、とても興味深く読んだ。
フランクルの言う収容所生活はほんとうのナチスの強制収容所で、比喩ではないのだが、わたしたちの生活の比喩として読むことができた。いまの自分の生活は非本来的で暫定的なものだと思っていると、目の前の問題にきちんと向き合わず、成長しないというのはその通りだろうと思う。
暫定的な生活を送っていると(自分で思っていると)、未来が見えず目的が持てないというのもその通りだと思う。
未来が見えない、ということでいうと、会社生活を何年も続けていると明日も今日と同じ生活がずっと続き、来週も来年も同じ、という気持ちになることがわりとある。たぶん、子供が生まれたせいで、来年はこのくらいになっている、十年後は、というわりとわかりやすい未来が見えるようになり、以前ほどはそんなことを思わなくなっているように思う。
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