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☆竹田青嗣「近代哲学再考」感想

2008年08月26日 23時46分54秒 | 文学
近代哲学再考―「ほんとう」とは何か-自由論-竹田青嗣の「近代哲学再考 「ほんとう」とは何か・自由論」(径書房)を読んだ。
ルソーとカントとヘーゲルの話が中心。ちょうど来月ルソーの「社会契約論」の新訳が発売されるようなので読んでみようかと思う。
正しさの根拠が宗教的な神にあったのに、そんなものはなく人間は自由だってことになって、でもそんなんじゃ滅茶苦茶になる、どうしたらいいんだってことになり、道徳に根拠を求めたのがカントで、そんな道徳は絵に描いた餅じゃねぇかと批判したのがヘーゲル。
ヘーゲルは良心ということを言って、道徳とか神とかいうどこか遠くにある正解のようなものを設定せずに、まわりのひとと相互に考えながらやっていくということを言ったらしい。
こう書いてしまうとごくごく常識的な考え方でつまらんが、この竹田青嗣の本はたいへん面白く、文庫になったら絶対に買うぞと思った。
本の要約などは結局つまらんものになってしまう。「本の要約などは結局つまらん」というこの要約がすでにつまらん。

しかし改めて考えると、確かに神も信じてないし天皇も崇拝してなく、自由といえば自由で、なんでもありというふうに今なっているようではあるが、あまり世間にヘーゲルの言う良心というものの動きがあって相互承認のようなことが行われていると感じたことがない。
案外宗教的なことを信じているようなところもある。
ヘーゲルが言っているのは、今後そうなるってことなんだろうか、今後そうなろうってことなんだろうか。

映画「プラダを着た悪魔」で、ぜんぜんお洒落に気を使わず、しかもそれにプライドを持っているアン・ハサウェイの着ている洋服をファッションのプロたちが見て、「君は自分には流行なんて関係ないと思っているんだろうけど、君の着ているそのダッサイ服もかつてのパリコレの影響からやってきたものなんだ」というようなことを言う。
そんなようなことが思想の世界でもある。ヘーゲルの本なんか読んだことなくても回り回って少しずつその影響を受けるということはある。
ニーチェが「神は死んだ」と言った当時よりも、確実に神は死んでると思う。
最先端のものはちょっとずつ浸透していく。
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