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☆三島由紀夫「源氏供養」「道成寺」

2007年09月26日 21時09分52秒 | 文学
決定版 三島由紀夫全集〈23〉戯曲(3)三島由紀夫の「近代能楽集」の新潮文庫版には
「邯鄲」
「綾の鼓」
「卒塔婆小町」
「葵上」
「班女」
「道成寺」
「熊野」
「弱法師」
の八つの作品が入っているのだが、
「源氏供養」
という作品が作者の考えによって収録されていないという話を聞き、それに興味を持って読んでみる。だいたい”幻の”とか”単行本未収録”という言葉にものすごく弱い。そう言われると、なんとしてでも読みたくなる。
図書館で「決定版三島由紀夫全集23」(新潮社)を借りてきて、噂の「源氏供養」と、このあいだテレビで舞台を見た「道成寺」を読んだ。
話を知らず新鮮だからかもしれないがふたつを比べたときに「源氏供養」のほうがおもしろいように思った。なんでこれを「近代能楽集」から外す必要があったのかよくわからない。
野添紫(のぞえむらさき)という、病気で死んだ女流作家の幽霊が登場し、彼女の書いた小説「春の潮(うしお)」の主人公、藤倉光を作中で自殺させたために成仏できないでいるという話だった。「安易に登場人物を救済しない。そんなことしたくない。」と幽霊が語っていておもしろい。あんまり聞いたことのない意見だ。
「道成寺」はテレビで見たそのまんまだった。台詞はまったく変えずに(逐一確認したわけではもちろんないが)芝居はするものなんだなと思った。

寂聴対談 十人十色「源氏」はおもしろいついでに瀬戸内寂聴の「十人十色「源氏」はおもしろい」(小学館)という対談・鼎談集も借りて、橋本治との対談、三島由紀夫と竹西寛子との鼎談、その他の人との対談は適当にぱらぱらと読んだ。
三島由紀夫が宇治十帖を好きと言っているのだけがこころに残った。
あと、この本は瀬戸内寂聴の「女人源氏物語」の付録から出来た本みたいなのだが、対談相手がみんな「女人源氏物語」を褒めるので、もしかしておもしろいんじゃないかと思ってしまう。簡単に暗示にかかる。
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