吉本隆明の「源氏物語論」(ちくま学芸文庫)を読み終わった。
「第Ⅲ部 厭離論」は宇治十帖についてだった。
浮舟は大姫君にそっくりなのだった。そんな基本的なことすら忘れていた。
円地文子も吉本隆明も、宇治十帖は劣るという意見で一致しているが、僕は宇治十帖のほうが面白かった。読みやすい。
こんなことは恥ずかしくて誰も口にできないのかもしれないが、あえて言っておきます。
「第Ⅳ部 環界論」は結構難しい。
「大鏡」「栄花物語」と「源氏物語」の記述との比較の表があるんだけど、これがなんかすごかった。
それと幽霊に対する紫式部の考察は同時代の人々よりも抜きん出ていたということも書かれていた。なるほどなー。
しかし難しい。
附録としてある「わが『源氏』」。
これがいちばん面白いんじゃないかと思う。
《時間さえかければ誰にでもできる現代語訳や実証研究を軽んじはしないが、》
《『源氏』を原文で読みこなしたなどというホラ吹き教養人と間違えられると、かえって困るのだ。》
《だいいちこの「『源氏』の十年」程度の文章を自国語(英文)で書いて、日本人に訳させる程度の語学力で、E・G・サイデンステッカーが『源氏』を「ある程度以上のスピード」で正確に読めるなどと、信じようにも信じようがないのだ。》
《あまりに長篇で、しかもその割に物語の進行は遅く反復的であることに退屈したら、きみが悪いわけではない。『源氏』が悪いのだ。》
このへんの切れ味のよさが吉本隆明の魅力でもあったんだなあ。
「第Ⅲ部 厭離論」は宇治十帖についてだった。
浮舟は大姫君にそっくりなのだった。そんな基本的なことすら忘れていた。
円地文子も吉本隆明も、宇治十帖は劣るという意見で一致しているが、僕は宇治十帖のほうが面白かった。読みやすい。
こんなことは恥ずかしくて誰も口にできないのかもしれないが、あえて言っておきます。
「第Ⅳ部 環界論」は結構難しい。
「大鏡」「栄花物語」と「源氏物語」の記述との比較の表があるんだけど、これがなんかすごかった。
それと幽霊に対する紫式部の考察は同時代の人々よりも抜きん出ていたということも書かれていた。なるほどなー。
しかし難しい。
附録としてある「わが『源氏』」。
これがいちばん面白いんじゃないかと思う。
《時間さえかければ誰にでもできる現代語訳や実証研究を軽んじはしないが、》
《『源氏』を原文で読みこなしたなどというホラ吹き教養人と間違えられると、かえって困るのだ。》
《だいいちこの「『源氏』の十年」程度の文章を自国語(英文)で書いて、日本人に訳させる程度の語学力で、E・G・サイデンステッカーが『源氏』を「ある程度以上のスピード」で正確に読めるなどと、信じようにも信じようがないのだ。》
《あまりに長篇で、しかもその割に物語の進行は遅く反復的であることに退屈したら、きみが悪いわけではない。『源氏』が悪いのだ。》
このへんの切れ味のよさが吉本隆明の魅力でもあったんだなあ。