桐島、部活やめるってよ(2012年 映画)

2016-09-01 00:00:43 | 映画・演劇・Video
2009年に書かれた小説家朝井リョウのデヴュー作を2012年に吉田大八監督が映画化。

出演者の約90%が高校2年生という極限的な校内小説。日本の高校進学率は97%なのだから、ほとんどの大人は同じようなシチュエーションを経験している。

kirisima


なんでもできて目立つ子が上位カーストを形成。それに対する屈曲した精神を持つ下位カーストが出現していく。さらにローンウルフ派がいて、その他というグループがいる。(先の都知事選みたいな構図だ)

その上位カーストの中でも飛び切りの星が「桐島」。男子バレー部所属。本編ではバレー部と映画部が対立的になっている。その桐島の退部と失踪をめぐって多くの男女高校生の感情が揺れ動いていく。

同じ事件の一つ一つについて、それぞれの高校生にとって意味が違うということを、それぞれの視点で何回も描いている。かなりの実験小説(実験映画)であるが、それは少し戦慄間を与える。

そして、本作のもっとも実験的なのは、中心人物である「桐島」は、はっきりした姿では作品に登場しないのだ。

(主人公が登場しないという点で、ベケット作の戯曲「ゴドーを待ちながら」と似ているという評論もあるが、似ている点は「主人公が登場しない」点だけで、それ以外は似ていないと思う)

ところで自分が高校生の時はどうだったかというと、ローンウルフ派だったように覚えている。もっとも嫌なことはすぐ忘れるので、記憶は不確かなのだが。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿