昨年100冊目「持ち重りする薔薇の花」

2012-01-05 00:00:04 | 市民A
昨年の100冊目は、ついに12月30日に読み切ることになった。毎年のノルマも結構きつい。年初に結構重い本を読んでいたり、大震災で読書の気分になれなかったこと。個人的に重要なできごとがあったこと。年末に島田雅彦の無限カノンシリーズを読んだことなどが苦戦の原因かも。

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そして100冊目に選んだのは、丸谷才一著『持ち重りする薔薇の花』という小説。著者久しぶりの小説である。実は、彼の小説は、ほとんど(たぶん全部)読んだことがあって、ファンの一人ということなのだが、なんとなく名作と呼びがたいところを感じてしまう。軽作というコトバがあればちょうどいい。

振り返れば、若い時に書いた『笹まくら』。緊迫感があふれている。『たった一人の反乱』もそうだ。『横しぐれ』。『裏声で歌へ君が代』。私の中では、ここまでかな。

『女さかり』、『輝く日の宮』。そして本作。たしかに上手いのだが力強さがない。元経団連会長とか世界的な日本人弦楽四重奏団の醜聞を書いても、ゴシップ好きのクラシック音楽ファンで、かつ財界人というのが正しい読者層なのだが、果たしてそういう条件を満たす日本人が何人いるのだろうか。

あるいは、本作の中で、語り手である元会長が、「すべては関係者が亡くなってから発表してほしい」と編集者と取り決めることからして、全編に「老いの影」が漂っている。取材済みの題材を使って、何かラストラン的な片付け作業をはじめたのだろうか。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
昨年百冊~ ( 市橋宗士 + New!  )
2012-01-05 01:41:16
葉一郎さんへ

  長い小説を読むのは根気が要るので、
  丸谷先生のは、「男のポケット」等の
  評論やエッセイをよく読んだ記憶が
  あります。まぁ、昨年、勲章をもらえ
  たんだから、もう引退ですかね。
  しかし一人の作家の作品をほとんど
  すべて読んだ、というのは、とてつも
  ないことですね。私の場合は、江戸川
  乱歩や泡坂妻男などの推理系や、筒井
  康隆ぐらいですね、全部というのは。
  いや、葉一郎さんの読書量は半端では
  ありませんね。年百冊以上なわけです
  から。お見逸れ致しました。
               市橋より

  
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Unknown (おおた葉一郎)
2012-01-05 21:59:46
市橋さま
たくさん読んでも、本当にAランクの本って、少ないですね。
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