昨年の100冊目は、ついに12月30日に読み切ることになった。毎年のノルマも結構きつい。年初に結構重い本を読んでいたり、大震災で読書の気分になれなかったこと。個人的に重要なできごとがあったこと。年末に島田雅彦の無限カノンシリーズを読んだことなどが苦戦の原因かも。
そして100冊目に選んだのは、丸谷才一著『持ち重りする薔薇の花』という小説。著者久しぶりの小説である。実は、彼の小説は、ほとんど(たぶん全部)読んだことがあって、ファンの一人ということなのだが、なんとなく名作と呼びがたいところを感じてしまう。軽作というコトバがあればちょうどいい。
振り返れば、若い時に書いた『笹まくら』。緊迫感があふれている。『たった一人の反乱』もそうだ。『横しぐれ』。『裏声で歌へ君が代』。私の中では、ここまでかな。
『女さかり』、『輝く日の宮』。そして本作。たしかに上手いのだが力強さがない。元経団連会長とか世界的な日本人弦楽四重奏団の醜聞を書いても、ゴシップ好きのクラシック音楽ファンで、かつ財界人というのが正しい読者層なのだが、果たしてそういう条件を満たす日本人が何人いるのだろうか。
あるいは、本作の中で、語り手である元会長が、「すべては関係者が亡くなってから発表してほしい」と編集者と取り決めることからして、全編に「老いの影」が漂っている。取材済みの題材を使って、何かラストラン的な片付け作業をはじめたのだろうか。
そして100冊目に選んだのは、丸谷才一著『持ち重りする薔薇の花』という小説。著者久しぶりの小説である。実は、彼の小説は、ほとんど(たぶん全部)読んだことがあって、ファンの一人ということなのだが、なんとなく名作と呼びがたいところを感じてしまう。軽作というコトバがあればちょうどいい。
振り返れば、若い時に書いた『笹まくら』。緊迫感があふれている。『たった一人の反乱』もそうだ。『横しぐれ』。『裏声で歌へ君が代』。私の中では、ここまでかな。
『女さかり』、『輝く日の宮』。そして本作。たしかに上手いのだが力強さがない。元経団連会長とか世界的な日本人弦楽四重奏団の醜聞を書いても、ゴシップ好きのクラシック音楽ファンで、かつ財界人というのが正しい読者層なのだが、果たしてそういう条件を満たす日本人が何人いるのだろうか。
あるいは、本作の中で、語り手である元会長が、「すべては関係者が亡くなってから発表してほしい」と編集者と取り決めることからして、全編に「老いの影」が漂っている。取材済みの題材を使って、何かラストラン的な片付け作業をはじめたのだろうか。
長い小説を読むのは根気が要るので、
丸谷先生のは、「男のポケット」等の
評論やエッセイをよく読んだ記憶が
あります。まぁ、昨年、勲章をもらえ
たんだから、もう引退ですかね。
しかし一人の作家の作品をほとんど
すべて読んだ、というのは、とてつも
ないことですね。私の場合は、江戸川
乱歩や泡坂妻男などの推理系や、筒井
康隆ぐらいですね、全部というのは。
いや、葉一郎さんの読書量は半端では
ありませんね。年百冊以上なわけです
から。お見逸れ致しました。
市橋より
たくさん読んでも、本当にAランクの本って、少ないですね。