横浜美術館の守衛たち

2017-01-08 00:00:00 | 美術館・博物館・工芸品
横浜のみなとみらい地区にある横浜美術館だが、かなり立派である。横浜市の美術館でバブル破裂寸前の絶頂期(1989年)に完成。設計は丹下健三氏。美術館の立派さと比べると収蔵品はやや劣るとは思うが、それでも世界のお宝は揃っている。

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一方、美術館の周囲に、大小いくつものブロンズ像があり、ここは無料だし撮影自由だ。休館日が月曜じゃなく木曜なので、誤って休館日を避けて木曜に美術館を訪れた方は、屋外展示で楽しんで、帰りに横浜そごうデパート屋上の「ミニ太陽の塔」を楽しむしかない。

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正門の両側には1メートル以下の小型ブロンズ像が並ぶが、あたかもアリスの国からきた人間の知能をもつ動物たちのようだ。美術館の守衛をやっているようにも見えるし、美術品を盗もうと侵入を企てた人間が、魔法をかけられ彫刻にされてしまったともいえる。


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美術館の南側には現物大より少し大きい、馬と少年の像はこの美術館を代表する作品なのだが、以前は館内に設置されていたのだが、室外に追い出されたようだ。家飼いしていた犬を、家から追い出して庭で飼うようなものだろうか。

作者はイタリア人のヴェナンツォ・クロチェッティ氏で、「平和の若い騎士」というタイトルである。

なんとなく、屋外に展示されると、「馬泥棒」のように見えてしまうが少年は平和の象徴である「月桂冠」を被っているように見える。似ているのが「オリーブの冠」である。スポーツの勝者に与えられる冠である。月桂樹とオリーブとはまったく異なる植物だ。見分け方は冠にしたときに葉がたくさんあるのが月桂冠で、葉が少ないのがオリーブ冠。このブロンズはやはり月桂冠で、スポーツ系ではなく平和系だ。馬術競技の練習中でもなければ、馬泥棒でもないようだ。

なお、クロチェッティ氏だが丹下健三氏と同じ1913年生まれ。どちらも既に雲の上だ。