大阪市立美術館に

2009-10-18 00:00:35 | 美術館・博物館・工芸品
shiritsu1大阪に来てまで市立美術館に行く予定はなかったのだが、たまたま近くの天王寺にいたので、地図を見ていて思い出したことがあった。

「消えた美術品」のこと。

数年前に読んだ本(書名を失念)で、美術品売買のことを読んでいたのだが、そこに大阪市立美術館のことが書かれていた。確か、美術館を数百億円で建て直し、近代的な美術館にふさわしい世界の名画を展示するために、巨額の予算をつぎこんで買い集めたものの、資金が枯渇し、絵画を入れるハコモノ(つまり新美術館の建物)をつくるおカネがなくなってしまい、展示されない巨額の絵画がどこかの倉庫に大量に眠っている、という内容だった。

逆のパターンは、日本にはたくさんあって、美術館はできても美術品に回る予算がなく、大量生産画家のピカソやシャガールで壁や空間を埋めたりする。ピカソ派が横浜市立美術館でシャガール派が青森県立美術館とか。

ということで、遠景でも石造りで重厚感があり、さらに近付くと荘重感の漂う市立美術館に行ってみる。石の階段を上ったり下りたりしなければならないが、かなり本格的だ。なぜ、建て直そうと思ったのかよくわからない。入口で、アルコールで手を消毒することを強要されることになる。「強制消毒」は初めてだ。マスクをしている人も多い。大阪の奇妙体験の一つだ。

実は、特別展もやっていたが、時間の関係で常設展だけにした。入口で何度も、「特別展には入れない」と念を押されたので、「大阪人はリッチだな」と思ったのが間違いだったのが、、大阪奇妙体験の2であった。入場料300円の常設展に入って、係員の目を盗んで、1300円の特別展に入る人を見た。マネをしようと思って、やっぱりやめた。


shiritsu3さて、常設展では、「水都大阪2009開催記念 水の風景」が開かれ、幻の一作である葛飾北斎筆『潮干狩図』がある。はるか遠景に富士山が小さく描かれるので、大坂ではなく江戸の佃島あたりだろうか。

その他、そこそこ作品は並んでいるのだが、この美術館の問題は、内装なのである。全然おカネをかけてないので、床や天井が汚いし、はっきりいって古色蒼然と言ったところだ。もしかすると、新美術館計画が完全に消滅していないので、この古い建物に修繕費や改造費をつぎ込んでいいのかどうか決断付かないまま、ずるずるしているのだろうか。

建物の耐震性には詳しくないが、別に建物の外観や立地に問題はほとんど感じないのだから、新美術館のことはキッパリあきらめてこの美術館の内部改造を行えば十分にすばらしくなると思う。もっと小部屋を作った方がいいだろう。プラド美術館みたいにすればいい。

shiritsu2さらに、入場チケットで、上空からの写真が見えるが、屋根にはソーラーパネルがぐるりと取り付けられている。取り壊すのではもったいない。


ところで、消えた美術品といえば、シャガールの「ブルー・コンサート」を常設していた青山のユニマット美術館が閉館していた。どうも、深い深い深いワケがあるようだ。名画もツライものだ。

ついでに、大阪奇妙体験の3、4、5を追加。

地下鉄御堂筋線に女性専用車両があったが、朝夕のラッシュ時だけではなく終日専用車両になっている。東京より痴漢が多いのだろうか。

ジャンジャン横丁では、ヴィトンやローレックスのコピー商品が堂々と販売されている。やはり、日本離れしている。そういえば、「新世界」地区という。未来の日本か。

歩行者専用の道が多いのはうれしいのだが、そこをお構いなしに自転車で爆走する人が多い。オバチャンもオッチャンもガキもだ。