飛び角

2009-10-17 00:00:56 | しょうぎ
角が飛んだ!

10月14日の女流王位戦で、先手石橋女流王位の角が、最終盤に、駒を飛び超えて先に行ってしまい反則負けになった。

14日夜は、石橋女流王位や渡辺竜王の応援団と将棋を指していて、夕方85手目までネット中継を見ていて、しばらくして、7時頃、再接続しても、どうもうまくつながらないので、まあしかたないと思っていた。

15日は早朝に新幹線に乗るため、勝ち負けだけ確認したら、石橋さんが負けていた。85手目の段階では、入玉される可能性もあったので、そうだったのかなとか思って棋譜は見なかった。

しかし、新幹線の中に、読売の電光ニュースが流れるのだが、「将棋タイトル戦で反則」といった内容が流れてきたので、思わずびっくりした。「石橋女流王位の自陣の角が、駒を飛び超えて敵陣で成った」ということになっていた。実際にタイトル戦の反則は初めてかもしれないが、角というのは反則しやすい駒だ。筋を間違えたり二枚の角の利きを勘違いして、別の角を動かしたり。それから駒を飛び越えたり。

思えば、石橋さんは、コンタクトとメガネを併用していたと思うが、夜戦になると、コンタクトは乾いてくるので、眼が疲れてくる。そういうのが遠因ではないか、とか思ってしまう。夜はメガネの方がいいかもしれない。

ところで、困ったのが、きょう(17日)のブログ。16日の夜まで外出したままなので、あらかじめ別の内容を書いて予約していたので、「角が飛んだ話」と差し替えなければならない。

tobikakuとはいえ、石橋さんを責めるのは、「特定の傾向の強い方々」に任せて、逆に、角が駒を飛び超えるルールを考えてみた。中国将棋(シャンチー)の「砲(パオ)」は、次の次の駒を取るのだから似ている。

かつて、故芹沢九段が、「『香は、一回だけ一マス下がることができる』とルールを書きかえれば、既存定跡はほとんどなくなる。」という意味を言っていたが、角の飛び超えを認めたら、それこそ定跡は全部書き換えだ。たとえば、▲7六歩にいきなり△8八角成となったりする。

ということで、角は大駒なので、かなり自由度に制限が必要になる。

そこで、「角は、一試合で一回だけ、駒を飛び越えて自陣から敵陣へ動き、成ることができる。」というように考えてみた。一試合に一回というのがかなりの制限で、乱発はできない。また、自陣からということにすれば、かなり応用範囲は狭くなる。


しかし、香の一マス戻しにしても、飛ぶ角にしても、もっとも迷惑を被るのは詰将棋作家だろう。そこで、さきほど考案した「角は、一試合で一回だけ、駒を飛び越えて自陣から敵陣へ動き、成ることができる。」にしたがって、詰将棋を作ることにする。何しろ、新幹線の中で頭の中で作るのだから大変である。

とりあえず、試作品。(実は不完全作)。駒も「飛ぶ角」なので、「飛と角」を組み合わせた字にしてみた。6八にあるのは成桂である。

作意は、▲3二飛成 △2四金 ▲6八角 △同歩成 ▲5七「飛び角」不成 △3五合い(4六合)▲2五桂まで7手詰。

▲5七「飛び角」不成のところで、▲2五桂 △同金、▲5七「飛び角」不成という詰め方もある。


しかし、帰ってから棋譜を確認すると、角が自陣から敵陣に入ったのではなく、6六から2二に行ったようだ。6六は自陣なのだろうか?詰将棋はできてしまっているのに・・


c12さて、10月3日出題作の解答。

▲1三金 △同玉 ▲1四歩 △同玉 ▲2五銀 △1三玉 ▲3一角成 △2二金(途中図) ▲1四歩 △1二玉 ▲2一角成 △同金 ▲1三歩成 △1一玉 ▲2一馬 △同玉 ▲2二金まで17手詰

初手から、4四角成が極めて有力に見えるが、2二への合駒は▲2一銀以下すべて詰むが、△3一桂合が唯一の逃れ順になる。

c34また、△2二金合のところ、△2二飛合だと、以下、▲1四歩、△1二玉、▲2二馬、△同玉、▲4二飛で、同手数桂余りとなるので、玉方の最善手ではない。

一応、攻め方の1五歩が邪魔駒的になっているのだが、「歩」というのは、捨駒の価値からして、最低ランクなのだろう。

動く将棋盤は、こちら



gin4今週の問題。

持ち駒、銀4枚。

きわめて、ありふれた図なので、同一作がありそうだが、盗作ではないので、「俺の作図だ!」と怒らないでいただきたい。


9手目の関門を過ぎると、以後、惰性でノロノロと追いかけて詰む。


奨励会を卒業すると、あとは惰性で棋士を続けることができるようなものだろうか。(まあ、他の職業でも同様なことは多いのだが)