ピストンエンジンは永遠か!な?

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ハイコンプピストン

2006年07月11日 | エンジン

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コメントでご質問を頂きましたので、早速お答えさせていただきます。

ショベルエンジンでは元々ピストントップはドーム状に盛り上がっています。

ガソリンエンジンの発展によるパワーアップの歴史は、ある意味圧縮比の向上の歴史でした。

内燃機関は19860年にフランス人のルノワールが完成させて実用化させていますが、これは燃焼は圧縮させないで大気圧の下で行われました。オットーサイクルで名を残したニコラス・オウガスト・オットーはユックリ燃焼させるため燃焼前に圧縮させるという、現在の評価では勘違い?とも思われるのですが、実際にオットーサイクルの理論を確立させたのは、オットーに14年も先立ちフランス人のロシャという人だそうです。

ロシャは特許料を支払う事が出来ず、名も残していませんが、フランスの教科書にはロシャによるオットーサイクルと書かれていたという話はホントウ?

最初のオットーのエンジンの圧縮比は2.5であったそうです。ハイオクガソリンの発明はケッタリングの功績ですが、圧縮比を上げていくとノッキングが発生します。これを放っておくとエンジンの破壊にもなりますので、モノによっては(飛行機では)命がけになります。

ケタリングの功績によりノッキングの悪夢から開放されたガソリンエンジンも、ホッとするのも束の間で、4エチル鉛の公害が露呈されてから次々と難関に立ち塞がれました。

「マフラーの容量⑪」(6月27日更新)で紹介いたしましたスラントスキッシュはこうした意味では、メカニカルオクタン価の進化の壁を越え、燃焼速度の遅い希薄燃焼でもパワーを上げる功績が評価されるでしょう。

レーシングチューンでも圧縮比を上げるモデファイは常套手段です。ドラッグレースなどで使われているC14という名のレースガスはオクタン価が130(だったかな?)もあり、圧縮比は14とか15を可能にします。

こういうトリックガスは酸化作用も強く、ニオイも如何にも!という感じで、一頃言われたF1ガスの毒性も容易に想像できます。なにしろ、使用後のオーバーホールを怠るとバルブやシートは赤錆びてしまい、全交換の破目になります。一部でリリースされているステンレスバルブはこうした事態に対処していると思われます。

勿論公道走行が前提のステージⅡ程度のスープアップでは、せいぜい圧縮比は9.5程度に止めなくてはなりません。平均スピードが低い公道ではオーバーヒートによるノッキングも考慮しなければならず、渋滞する道路では折角大枚を投資したエンジンを壊してしまいます。

前置きが長くなりました。

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左が標準のドームのピストンで、右がハイコンプになります。大きいドームが燃焼室の容積を減らして圧縮比を高めます。

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ショベルエンジンの鋳物ピストンのほとんどは、矢印のように鋳肌が残っていて鍛造と区別できます。

鍛造ピストンは多くの場合は型の汎用性を高めるため、ピストントップを大きく作り全面加工して製品をつくるので、型の痕跡は表側では見ることがありません。

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ピストン裏を見ると鋳造と鍛造の違いをより確実に判断でき、青矢印の鋳造では型の痕跡が分かり、鋳肌も見ることが出来ます。赤矢印は鍛造の型の滑らかな痕跡を見ることが出来ます。

ピストンは高速で往復運動するので、慣性質量を小さくするために軽い金属のアルミニウムを使うのが常識となっていますが、20世紀の初頭にメルセデスがGPレースで初めてアルミピストンを使用したときは「融点の低いアルミをピストンに使うのは危険」とされたそうです。

確かにレースエンジンでは燃焼温度が2000℃にもなるので、融点が600℃代のアルミでは心配です。実際に思わぬ異常燃焼が発生するとピストンの一部が熔けたり、融点近くでは強度も落ちるので棚落ち(ピストンリング間の部分が欠け落ちる)したりします。

そういった危険性を回避する理由で、少しでも強度を確保するため鍛造ピストンが使われます。鍛造といっても日本刀を作るように人力で鍛えるわけではありません。熱した素材を型に入れておき何十トンもの力で打つので、密度が高く耐久性のあるピストンができます。

鍛造ピストンの特徴

  • 強度があるので軽く出来る。
  • 同じ理由でピストントップの加工をすることにより圧縮比を変更可能。
  • ワイセコやJEなどの専門メーカーの製品ラインアップは幅広く(型の汎用性)、好きなピストンを選びやすい。
  • 密度が高い理由で膨張率も大きく、冷間時のピストンクリアランスを大きくとらねばならず、暖気運転が長くなる。

鋳造ピストンの特徴

  • コストが安くなるので大量生産に向く。
  • 最近では高圧鋳造などで、鍛造に遜色ない強度を実現。
  • 強度を確保できると、ギリギリまで薄肉化して軽量が可能。

とまあ今日はここまでですが、この先にはチュ-ンアップの実際の効果や注意点なども考察してみましょう。「マフラーの容量」も完結していないのにどうするんだ!という声も聞こえそうですが・・・。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
しかし・・ (えふ)
2006-07-11 23:02:15
しかし・・
レーシング用のハイオクって凄いですね。
軽油使ったエンジンで圧縮22くらいですから・・・

私のULTRAもこの前の日曜日に2000キロになったのでオイル交換しました。
新車800キロで一回、2000キロで一回次は5000キロで交換します。

みんな、必要ないって言ってましたが、今回交換したら・・
800キロ交換のときより凄くフィーリングがスムーズになりました。

新車時の慣らしに関して理想の方法又はベターな方法って・・

うーん、行き過ぎて不足は無いってって世界の話かもしれませんが・・

これだけしたら十分って言うノウハウありますか?
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どうもです。 (ピストン)
2006-07-12 19:44:36
どうもです。
C14は揮発も早いですし、吸い込んでしまうとクラクラした憶えもあります。

慣らし運転は、普通に乗っていれば良いと思います。最高速にいきなりチャレンジとかしなければ良いのではないでしょうか。
しかし、オーバーヒートには気を付けたいものです。
楽しんでください。
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Unknown (リンショウ)
2018-03-17 19:52:53
コメント失礼します‼アイアンショベルのピストン上部を平に削れば圧縮比が下がりキックも軽くなりやさしい乗り味になるのでしょか?削ると燃焼室の気流の不具合にカムの変更等も必要になると思われますでしょうか?
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