ピストンエンジンは永遠か!な?

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クランクバランサー③

2007年01月05日 | エンジン

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S42_15

ようやく本題に入ることができます。

もちろんご存知のように、ピストンは直線の往復運動で、クランクは円運動です。

往復運動の速さは回転速度と往復の距離(ピストンストローク)によりますが、往復運動する物体(ピストンなど)が重いほど、速度が早いほど、エネルギーが大きくなって発生する振動も大きくなるのは容易に想像できます。

携帯電話のバイブレーターのモーターは小指の先ほどの大きさ(もっと小さい?)でも、あれだけの振動を発生することも想像してみてください。

クランクのカウンターバランサーはコンロッドのビッグエンド(ピストンの反対側)の、クランクピンのクランク軸中心を挟んで反対側にあります。

写真はピストン上死点付近ですが、ピストンのモーメント①と、クランクバランサー②とバランサーシャフト③のモーメントが釣り合う雰囲気が分かると思います。

S41_16

ピストン下死点付近でも同様です。残念ながらスペースを取らない一軸のバランサーシャフトでは、モーメントがズレてしまいますから振動は完全にキャンセルできません。

S44_10

ピストン上死点、下死点 付近では、ピストンなどの重さと釣り合っていたクランクバランサーの重さも、ストローク途中では余計な仕事をしてしまいます。

この写真の状況では、クランクバランサーの前後方向に働くモーメントを、バランサーシャフトが打ち消していることが分かります。

S43_13

この写真のピストン上昇時でも同様です。

クランクバランサーは地味な存在ですが、発明される以前はエンジンが巨大なバイブレーターであり、特に飛行機などは振動で部品が脱落して故障の原因になると考えると、決して無視できるものではなく、クランクの周囲にシリンダーを配置する星型エンジン(2気筒のボクサーエンジンを含む)の発展はコレと無関係ではないでしょう。

ヤマハSR400/500などのバランサーシャフトを持たない単気筒エンジンは、回転を上げるほどに振動が大きく増す理由もコレで分かると思います。

ハーレーのようなV型シリンダーのエンジンは、この状況がもっと複雑になりますが、古くはSRからSRX、割と最近ではエボエンジンハーレーからTC88Bに乗り換えた方は、バランサーシャフトの効果の程を身をもって知ったことだと思います。

このシリーズの続きでは、シリンダー配置の違いによる振動特性を考察してみたいと思います。その際は今回の記事の内容が基本になります。

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今年もよろしくお願いします。 (なしし)
2007-01-05 17:50:44
今年もよろしくお願いします。
お題が難しくてよく理解できませんが
バケツにビー球いれてまわすと始めは
ふらふらしてますが、速度がのると
ビシットしますよね?そんな考えで
いいんでしょうか?素人には難しい~
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なししさん、 (Unknown)
2007-01-05 20:44:54
なししさん、
今年も宜しくお願いします。

ビー球の件は、回転速度が速くなると遠心力が大きくなる実験ですね。
早く回すと手が引っ張られる感覚が強くなりますね。それが振動の基です。
両手を広げ、それぞれの手にバケツを持って体を回せば、双方の遠心力で相殺されます。例えはチョット異なりますが、続きを楽しみにしてください。
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本題と関係ありませんがグースのクランクピンは最... (1%ER)
2007-01-05 21:55:43
本題と関係ありませんがグースのクランクピンは最初から溶接されているのでしょうか。
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バランサーを一番最初に知ったのが三菱の4気筒エン... (US05 1200R)
2007-01-06 05:08:16
バランサーを一番最初に知ったのが三菱の4気筒エンジンなので、何となく機能を誤解してました。
よくよく考えると奥が深い話で勉強になります。
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1%ER さん、 (ピストン)
2007-01-06 20:24:15
1%ER さん、
鋭いところを突かれました。
はい、このエンジンはワタシが最初にレースに使ったエンジンで、溶接はワタシが行いました。

US05 1200Rさん、
4気筒のクランクは単体で回転バランスが取れますが、ピストン/コンロッドの重さが加わると事情が異なるところが面白いですね。
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お疲れ様です。 (芦田)
2007-01-08 14:15:57
お疲れ様です。
似たような名前が多く使われているようなので分かりやすい名前にしました。(笑)
ちょっと前ですが、TC88Bのクランクバランサーのタイミングがずれてしまった車両の診断をしました。 
バーンアウトをしていて遊んでいたらしく、クランクピンに圧入されているバランサー駆動用のドライブスプロケットが空回りしたようです。
タイミングの外れたバランサーは、それはもう強烈なバイブレーションでした、共振でタンクのステーが破断してとても乗っていられるものではなかったのですが、フロントマンは「クランクかバランサーに異常があるのでケースを開けないとだめだ」という僕の診断を信じてくれなかったのでした・・・。 
フロントマンはマウントが緩んでるだけだろうと言い張ってもめましたが、その後はごたごたと。(笑)
面白アメリカントラブルでした。 
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芦田さん、 (ピストン)
2007-01-08 19:53:30
芦田さん、
それは良い経験をしましたね!
また評価が上がったのでは?
事実は小説より奇なりで、メーカーのテストでは起こりえないことも、ユーザーはやってしまいます。
例は違いますが、昔2サイクルトレールでバランサーシャフト付きのがあり、販社工場に保障修理に出したら、バランサーのタイミングを間違えて組み上げたことがありました。戻ってきてエンジン掛けたら凄い振動で、すぐにやり直しをさせました。
メーカー系の販社工場でもレベルは?でした。
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大変わかり易く説明していただきありがとうござい... (柴田廣高)
2010-09-29 09:13:50
大変わかり易く説明していただきありがとうございます。

疑問に思ったのですが、バサンサーウエイトの位置が、写真の上死点と
下死点で、各々逆になっておりますので、ご確認願います。
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訂正 (柴田廣高)
2010-09-29 09:47:01
訂正
申し訳ありません。
バランサーウエイトの位置は、写真の通りで間違っておりませんでした。

ど素人の浅はかな勘違いで、大変失礼いたしました。
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古い記事にコメントありがとうございます。 (ピストン)
2010-09-30 00:33:36
古い記事にコメントありがとうございます。
返信する

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